研究課題/領域番号 |
17K17769
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
隼瀬 悠里 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 准教授 (90611773)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 専門職学習コミュニティ |
研究実績の概要 |
本研究課題は「授業研究を通した専門職学習コミュニティ形成と教師教育者の果たす役割についての考察」であるが、本年度は授業研究をさらに広義に捉えた形でも研究を進めた。ノルウェーの教師教育者研究においての第一人者であるKari(2021)は、授業研究が、現職研修の場のみならず、学生の力量形成のため、教員養成の場でも用いられてきた一方で、教師教育者自身の専門性開発としてはほとんど用いられてこなかったという批判もされてきたことを指摘していた。その上で、教師教育者自身の実践を対象とした授業研究を推進するための方法論の1つとして、セルフスタディを挙げていた。 本年度は教師教育者自身の授業研究の在り方についても考察するため、まずは自身が関わっている教員養成課程におけるプロジェクト型の教育実践を研究対象とし、そこでの学生の学習過程に焦点を当てた研究を行った。対象とした教育活動では、教育実習とは別に、学生主体で地域の子どもと年間を通した活動が展開されている。この活動では学生自身による専門職学習コミュニティ構築も目指されており、1年から3年まで役割を変えていく中で、様々な世代や他者が交差しながらどのような力量形成がされているのかを、学生自身の実践記録の分析を通して明らかにした。その中で、「正統的周辺参加」を通して中心的な役割を担うようになっていっていく過程が顕わとなり、そうした実践者としての成長を支える多層的な省察の場が保証されている必要性があることを課題として提起した。こうした研究成果は学内の紀要論文として公表するとともに、国際学会において、“co-agency”を育む教師教育の在り方をさぐるべく、さらにエジプト人同僚とのエジプトの事例との国際比較を通した口頭発表も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究を進める中で、新たな視点からの研究も行えたという点では進展はあるが、さらなる調査研究を進める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
理論的研究をより充実させるなど、必要に応じて当初の研究計画に修正を加えながら、研究課題の解明に向けて取り組んでいく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響もあり、海外調査等が思うように出来なかった。
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