本研究の目的は、ゼブラフィッシュにおいて長鎖非翻訳RNA遺伝子の機能をゲノム編集技術を用いて明らかにすることである。初年度において、既存の長鎖非翻訳RNAデーターベースを利用し、ゲノム上の前後にコードされる遺伝子の機能などを考慮し、50種類を候補遺伝子として選別した。それらの遺伝子をクローニングし、胚発生期における発現を検出した。その結果から、胚発生期において造血・心血管を含む組織において特異的に高い発現が認められる長鎖非翻訳RNA16種類を解析候補遺伝子として選別した。これらの標的遺伝子座位に対してCRISPR/Cas9によるノックインを行い、遺伝子破壊と同時に標的遺伝子の発現を蛍光タンパク質レポーターの発現でモニタリングできるようなトランスジェニック系統の作製を試みた。F0世代ではノックインが成功したものの、ノックインされたF1世代を得ることは出来なかった。 しかし最終年度において、3種類の標的遺伝子に関しては、CRISPR/Cas9により標的遺伝子の配列を十分に欠損させ、表現型を伴う系統の樹立に成功した。それらの内訳は、性分化に異常のある変異体2系統および致死性の変異体1系統である。これら3つの標的遺伝子は、タンパク質と非翻訳RNAの両方をコードする遺伝子であり、双方の機能が失われたものと推測される。最終年度において、性分化に異常のある系統について表現型解析を行った結果を現在論文にまとめており、今年度中に出版できると考えている。
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