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2018 年度 実施状況報告書

小児ALLにおけるASNS遺伝子のメチル化がL-asp感受性におよぼす影響の解析

研究課題

研究課題/領域番号 17K17774
研究機関山梨大学

研究代表者

渡邊 敦  山梨大学, 大学院総合研究部, 特任助教 (30610498)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード急性白血病 / 薬剤感受性 / 遺伝子メチル化 / 個別化医療
研究実績の概要

・東京小児がん研究グループの凍結保存余剰検体を用いてASNS遺伝子メチル化率とL-asparaginase感受性の関連性を評価した。L-asparaginase 0.01U/mlの添加の有無に分けてWST-8を用いて生細胞率を解析した。その結果、細胞株と同様にASNS遺伝子高メチル(n=3)を呈する初発時臨床検体は、非高メチルの群(n=49)に比べて有意に生細胞率が低かった。これは再発時臨床検体においても同様であった。すなわち、臨床検体においてもASNS遺伝子の高メチル化がL-asparaginaseに対する高感受性のマーカーになっていることが明らかとなった。
・ALL細胞株を用いて、高速液体クロマトグラフィー法によるASNS遺伝子のメチル化状態を解析した。その結果、次世代シーケンサーを用いた解析とほぼ同様のメチル化状態を検出しえた。特にL-asparaginase感受性が高いASNS高メチル化株の同定は高速液体クロマトグラフィー法でも十分に行えた。解析が低コストで済み、結果を得るまでの時間も短縮できる可能性が示唆された。
・ASNS遺伝子メチル化の分子生物学的な背景として、7番染色体長腕上のインプリンティングクラスターとASNS遺伝子のメチル化状態の関連性を、細胞株を用いて次世代シーケンサーで評価した。PEG10遺伝子と関連してメチル化を受けるTAC1、DLX5など既知のインプリンティング遺伝子とASNS遺伝子のメチル化率は正の相関を示し、ASNS遺伝子がインプリンティング遺伝子であることが示唆された。
・同様に、公的データベース(GSE49031)を用いた急性白血病細胞臨床検体のメチル化状態解析でも、同様の遺伝子のメチル化状態に正の相関があることが明らかとなった。
・これらは癌の化学療法感受性を規定する因子として遺伝子メチル化やインプリンティングが関与していることを示している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究実績の概要で示すように、予定していた解析が概ね順調にすすめられている。特にin silico解析はASNS遺伝子にとどまらず、他の解析にも応用できる成果が得られている。一方で論文化が遅れており、ここまでの成果を公開できるよう準備をすすめている。

今後の研究の推進方策

・現在、ここまでの研究成果を英文論文として発表するために準備をすすめている。また、in silico解析の方法として京都大学のスーパーコンピューターへのアクセスが可能となった。また、米国のSt Jude小児病院が公開している小児がんの大規模データセットを使用する申請をすすめており、これらを組み合わせた解析も計画している。
・今後は急性白血病細胞のASNS遺伝子メチル化が実臨床でバイオマーカーとして用いられるかどうかを検証していきたい。具体的には、高速液体クロマトグラフィー法で初発ALLのメチル化状態を解析し、初発時サンプルの薬剤感受性スクリーニング結果ならびに臨床的な予後情報を反映するかを調べたい。

次年度使用額が生じた理由

2018年度は国内で開催された第50回国際小児がん学会(SIOP)に参加したため、米国国際血液学会への参加を見送った。
算定していた費用は次年度の米国国際血液学会への参加費用にくわえ、in silico解析をさらに進めるにあたっての環境調整・CRISPR/Cas9によるASNS遺伝子のノックアウトを計画し、次年度へ繰越申請した。

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公開日: 2021-12-27  

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