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2018 年度 実施状況報告書

線毛運動障害による髄液ダイナミクス異常とダイニンの分子生物学的解析

研究課題

研究課題/領域番号 17K17792
研究機関名古屋大学

研究代表者

竹内 和人  名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (90710088)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードダイニン / 水頭症 / Dpcd / サブユニット
研究実績の概要

昨年までの研究で繊毛運動障害マウスでは第三脳室、側脳室の拡大が認められるが、第四脳室の拡大が認められていないこと、出生直後は拡大が認められず、PO2以降に徐々に水頭症が発症することが確認されていた。このことから、中脳水道付近での髄液還流障害が水頭症発症の主病態であると考えられたが、第三脳室内、特に中脳水道での繊毛運動は大きくは障害されておらずbeating patternにも異常は認められなかった。
本年は上記成果をもとに繊毛運動障害マウス(Dpcd KOマウス)における繊毛運動の部位別障害の程度およびmRNA発現並びに微細構造の検討に主眼を置き検討を行った。この結果、Dpcdマウスにおいては第三脳室内や中脳水道付近に比較して特に側脳室内での繊毛運動が低下している事が判明した。しかしながらダイニンmRNA発現量については部位による違いはなく、原因はダイニンの発現異常以外にも存在することが示唆された。そこで繊毛運動障害モデルマウスにおける繊毛内微細構造特にダイニンサブユニットの構造を把握すべくTEM、SEMを用いた検討を開始した。現在までのところ構造把握までは至っておらず、今後検討を続ける必要がある。
また、追加検討である脳室内出血後水頭症モデルについても検討を行った。脳室内出血後にしばしば発症する後天性水頭症モデルマウスの開発にも成功した。この後天性水頭症マウスの繊毛を確認したところ、繊毛数の現象、近接する繊毛の癒着が確認された。今後こちらのマウスについては微細構造の確認を行う予定とした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

水頭症モデルマウスにはDpcdマウスが必須であるが、何らかのバックグラウンドの変化により水頭症マウスが得られない時期が生じた。このためwild typeマウスを導入することで現在は水頭症マウスを継続して得ることが可能な状態となっている。また、水頭症の発生には繊毛運動が強く関与していると仮定し検討を行っていたが、その他の原因の関与も示唆され、さらなる検討の追加を要する事となった。
このため当初の予定からやや遅れる形となっている。

今後の研究の推進方策

前述の通り水頭症発症の原因把握には繊毛微細構造の確認が必要不可欠であると考えられた。TEM、SEMを用いて繊毛微細構造特にダイニンサブユニットについて検討を行う予定である。またこの結果をもとにクライオ電子顕微鏡を用いて立体構造の把握も行う予定である。繊毛下器官についても検討が必要と判断しており、この部位でのダイニン生成異常についても検討を行うこととした。

次年度使用額が生じた理由

水頭症モデルマウスであるDpcd KOマウスの出生に問題があり、マウスが得られない時期が存在した。この時期には脳室内出血後後天性水頭症マウスを作成し検討を行っていたが、これらの影響により実験が遅れたことによるものである。現在はバックグラウンドの改良を行うことで順調にモデルマウスの作成ができており、今後の実験には影響がないものと考えている。

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公開日: 2019-12-27  

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