研究課題/領域番号 |
17K17794
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
藤原 慎一 名古屋大学, 博物館, 講師 (30571236)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 三次元筋骨格モデル / 古脊椎動物 / 姿勢復元 |
研究実績の概要 |
動物の運動時において、地面で体重を支える四肢は体の重心を支えるために適した配置をしていると期待され、動物がとり得る歩行姿勢(二足歩行性・四足歩行性)とも密接に関係している。動物は進化とともに歩行姿勢を変化させてきたが、その進化過程を知るためには、絶滅動物の重心位置の見積もり、および、前肢を用いた体重支持能力の見積もりが必要不可欠である。 豊橋市自然史博物館およびカナダ自然博物館を訪れ、関節状態を保持したまま化石化した鳥盤類恐竜の全身骨格6標本の三次元形状を取得し、過去2年間で同様に取得したその他の恐竜骨格とともに、股関節の位置、および前半身・後半身の容積を比較し、重心の位置の見積もりを行った。本成果の一部は、The 1st Asian Paleontological Congressにて発表した。 また、多種多様な現生四肢動物のCT撮像データより、前肢で体重を支える肩帯骨格の強度を見積もり、歩行姿勢との関連を考察した。その結果、四足歩行姿勢をとる動物の中で、四肢を体の真下におろして歩行する下方型動物と、体の横に張り出して歩行する側方型動物では、肩帯の左右方向への圧縮に対する強度が有意に異なることが示唆された。本成果は、骨格形状を元に、絶滅動物における重心位置に対して前肢をどのように置いて歩行していたかをより確からしく復元する際の重要な根拠となり得る。本成果は、投稿に向けて準備を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
化石種の骨格形状の三次元データの構築作業に多大な時間がかかっており、当初予定していた計画から遅れている。また、化石種の重心位置の見積もりは、主に骨格の輪郭を元に行っているが、より正しく重心位置を推定するためには、その上を覆う筋肉の三次元形状を加味した上での見積もりが必要であるが、三次元デジタル造形用のソフトウェアの取り扱いについて、習熟に予想していた以上の時間が掛かっている。
|
今後の研究の推進方策 |
三次元デジタル造形用ソフトウェアの習熟を継続して行い、骨格と筋肉を加えた化石種の重心位置推定を引き続き行っていく。 同時に、現生種のCTデータから得た前肢骨格形状の強度解析を推し進め、歩行姿勢の違いによって、体重を支えるのに必要な強度に差が現れるかを確かめていく作業を継続して行う予定である。
|