従来から用いられている(0001)GaNとは異なる結晶面上に作製したInGaNを用いて、黄色~赤色で発光する発光デバイスの作製を目的とした。本研究で用いる(1-101)InGaNでは高成長レート成長により高温成長が可能で、結晶品質の改善が期待できる。また従来の(0001)InGaNと異なる緩和機構を持つため、In組成増加に伴う緩和による欠陥形成の抑制と、発光効率の上昇が期待できる。 本研究では活性層の品質向上に主に着目し、2つの手法を用いてInGaN発光層の長波長化に取り組んだ。1つ目は発光層下にInGaN層を挿入し長波長化する手法である。本手法ではTMI供給量や温度などの成長条件ではなくInGaN層の成長膜厚により緩和率を制御することで発光波長の制御が可能であることを示した。もう一方では従来の光共振器作製技術を応用し、発光層下に形状を制御して成長エッジに高指数の半極性面を形成することで、誘導放出に成功した。 本年度は上記に引き続きこれらの電気特性評価を行うべくデバイス作製を行なった。電気特性評価に向けたデバイスプロセスによってデバイスの整流性の観測ができたが、リーク等デバイス作製において多く課題が残った。これらについては今後の検討課題とする。
本手法はSi基板上に選択成長した半極性面GaN結晶特有の技術で、長波長の発光層の発光強度の向上が可能である。また成長基板として安価なSi基板を用いることや、選択成長を行うことから面内で発光波長が制御可能という特長を有する。これは近年研究が推進されているマイクロLEDディスプレイへの応用が期待される多色発光が可能なLED作製技術であり、GaN系LDの長波長化の実現につながる成長技術である。
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