気孔は光合成に必要なガス交換を担う植物の生育に必須の器官であると同時に、病原菌の侵入経路でもある。植物は病原菌を認識して気孔を閉じる免疫機構を持つが、病原菌の中には気孔を再開口させるものが存在する。病原菌が気孔を開く仕組み関しては、未解明の部分が多く残されていた。本研究において、トマト斑葉細菌病菌が産生する植物毒素コロナチンが、植物の遺伝子を利用して気孔を開くことを突き止めた。この知見をもとに、ゲノム編集技術を用いて、コロナチン標的遺伝子をコロナチンに利用されないように改変することに成功した。さらに、コロナチン標的遺伝子は本来明け方の速やかな気孔開口と光合成の開始に必要であることを見出した。
|