研究課題
今年度は複屈折顕微鏡による転位の観察・評価分類の詳細に取り組んだ。複屈折顕微鏡で得られる転位コントラストを、転位周辺の応力及び光弾性の式を用いた計算で得られるコントラストシミュレーション像や、複数のgベクトルで撮影したX線トポ像、近年発見されたE2highのラマンピークのシフトをマッピングすることによって得られる像等の既に転位種判別実績がある手法と照らし合わせるた。その結果、複屈折顕微鏡では貫通転位の刃状成分のバーガースベクトルがどの向きを向いているのか、が判別できることが分かった。またらせん成分が大きい転位についてはそのどれとも違うコントラストを示していることも明らかにし、複屈折顕微鏡を用いることによって非常に簡便に転位の検出・判別ができることを明らかにした。また、GaN中転位のRecombination Enhanced Dislocation Glide (REDG)の観察にも取り組んだ。その結果、GaNのエピ/sub界面に存在する基底面転位について多光子励起キャリアによるREDGを確認した。REDGがGaN中で起こりうることは確認できたので、今後通常のデバイス利用時を想定した、pinダイオードの順方向通電時にも同様のことが起こるのか確認実験をしていきたい。期間全体としては以下のような成果を上げた。①複屈折顕微鏡による転位の判別を可能にした。②1cのバーガースベクトルを持つ螺旋転位部でpinダイオードの漏れ電流が発生していることを明らかにした。③螺旋転位部には直径40nm程度のナノパイプが発生しているものもあることを明らかにした④漏れる転位・漏れない転位両方ともにMgが偏析していることを明らかにした⑤転位依存の漏れ電流を抑制するエピ条件を見出した。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
physica status solidi (b)
巻: 257 ページ: 1900553~1900553
10.1002/pssb.201900553
Applied Physics Letters
巻: 114 ページ: 232105~232105
10.1063/1.5097767
AIP Advances
巻: 9 ページ: 095002~095002
10.1063/1.5114866