研究課題
認知症患者とその前段階である軽度認知障害の高齢者は800万人を超え、10年後には65歳以上の3人に1人が認知症患者とその予備軍となる。音楽は妄想や興奮状態など、認知症の心理症状の緩和に対する非薬物療法として、老人ホームやデイサービスなどで頻繁に使用されている。症状改善に関する症例報告は多数発表されているが、その機序はほとんどわかっておらず、医学的に妥当な方法を用いて音楽の有効性を明らかにすることは、根本治療薬がなく患者数が激増している現代社会において急務となっている。本研究では、認知症患者を対象に音楽による進行抑制作用の機序と、健常高齢者を対象に音楽による認知症予防の機序を、脳画像と神経心理検査のデータから示し、そこで構築したデーターベースに基づいた音楽療法プログラムを作成する。本研究費によって行なった健常高齢者や認知症患者を対象した研究では、介入前の認知機能や脳容積がどのように保たれているかが重要なファクターであることがわかってきた。例えば、演奏に関わる機能が残存していることで、認知機能の低下を伴うBPSDが進行しているにもかかわらず、重度血管性認知症の参加者が新しい電子楽器を演奏し続けることが可能であることを示唆した。以上から、音楽療法プログラムを作成していく上で、対象者の残存機能を脳画像と神経心理検査のデータから評価し、対象者が遂行できるプログラムを作成することが重要であることがわかってきた。
3: やや遅れている
新型コロナウイルス感染症のため、介入ができないため。
これまでの脳画像と神経心理検査のデータから、音楽療法プログラムを作成する。
新型コロナウイルス感染症のため、介入ができなかったため。論文の掲載料等に使用する。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件)
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