研究実績の概要 |
令和元年度は以下を明らかにした。 ①マウス骨格筋において、miR-494は持久的運動によって低下する:生体内でのmiR-494の働きを検討するために、C57BL/6Jマウスにトレッドミルによる持久的運動負荷を加え、前脛骨筋でのmiR-494、筋ファイバータイプ遺伝子、ミトコンドリア関連遺伝子を解析した。その結果、運動負荷群において、miR-494発現が低下し、MYH2、MYH7(Ⅰ型筋線維)などの好気性筋線維に関係するタンパクや、ミトコンドリア関連タンパク(TFAM,mt-Co1)が増加することがわかった。 ②マウス骨格筋において、miR-494過剰発現がⅡa型筋線維およびミトコンドリア関連タンパクを減少させる:miR-494の骨格筋におけるin vivoでの役割を検討するために、miR-494前駆体(miR-494 mimic)をC57BL/6Jマウスの右前脛骨筋に注射し、左前脛骨筋には生食を注射した。その結果、miR-494 mimic注射によって、p300、MyoD、Myh2発現が低下し、さらにミトコンドリア関連タンパクであるTfam、mt-Co1発現も低下することがわかった。つまり、miR-494がマウス骨格筋内においても、p300を抑制し、Myh2発現を低下させることが示された。 ③miR-494ノックアウトマウスは酸素消費量の亢進を示す:CRISPR-Cas9を用いてmiR-494ノックアウトマウスを作製し、その繁殖に成功した。まず、オキシマックス等流量システムを用いて、miR-494KOの個体レベルの酸素消費量を解析した。その結果、miR-494KOは野生型マウスに比して酸素消費量が有意に亢進することがわかり、熱産生が亢進していることが示唆された。現在、骨格筋、脂肪組織に着目して、運動能力などの解析を進行中である。
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