本研究は、導入段階のプログラミング演習における「理解の促進」と「学習の動機づけの付与」の両立を目的として、学習科学的視点から演習のあり方についてその理論的枠組みを提案するとともに、学習教材やカリキュラムの開発など教育の現場に反映できる程度にまで具体化を試みるものであった。そのために、(1)効果的なプログラミング演習実施のための提案、(2)教材およびカリキュラムの開発を実施し、学校教育等におけるプログラミング演習の1つのモデルケースとして提示した。 これまで様々なプログラミング学習教材の分析結果に基づき、初学者向けプログラミング学習教材の開発と授業実践を行った。今年度は、その実践結果を分析し、その結果をもとに、初学者向けプログラミング学習教材の改善と授業実践を行った。今後、学校教育等における実践に導入が可能な形までに発展させるためには、「理解の促進」と「学習の動機づけの付与」を包括的に捉え、それらを統合した形で提示する必要があるため、様々な実践の場での検証が必須となるため、昨年度は授業実践の分析結果を反映した教材を用いて、授業実践を実施した。加えて、プログラミングを学ぶ際に、プログラミングを理解するための教材としてわかりやすいといった基準やプログラムの機能が学習者の興味に合致しているかといった基準などについても検討し、プログラミング初学者を対象とした演習型授業を設計する際の指針を提示した。さらに、プログラミング初学者が導入段階から応用段階に移行する際、学習に必要となる要素もあわせて検討した。
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