研究課題/領域番号 |
17K17826
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
LEE FUHSING 京都大学, 防災研究所, 特定研究員 (10769938)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 茨城県大洗町 / 高知県黒潮町 / 住民主体の実現 / クロスロード / 台湾 / 土石流防災 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に引き続き、住民主体の復興を実現することを目標に研究を遂行している。具体的な研究実績は以下の2点である。 1.「被災地大洗町と未災地黒潮町」の交流勉強会後の成果 昨年度、研究代表者は研究フィールドである茨城県大洗町で第1回の交流勉強会を開催し、黒潮町で第2回の交流勉強会を開催した。今年度、研究代表者は研究交流会が大洗町にどのような影響を及ぼしたのかを調査した。その結果、第2回の交流勉強会に参加・発表した大洗町は、黒潮町で実施されている「砂浜美術館」の「Tシャッツアート展」のコンセプトにひかれ、2019年6月に大洗町で「風にころがるTシャツ展」を開催した。この企画の目的は、黒潮町の砂浜美術館のコンセプト「私たちの町には美術館がありません。美しい砂浜が美術館です」のように、私たちの町には何かいいものがあります!」と声高らかに宣言できる日が来ることを願っているとのことである。また、主催者は10年連続Tシャツ展を継続的に開催していくことを目指している。以上、本研究が実施した交流勉強会は、住民主体の実現の方策を提供し、被災地の復興に多様な発展を与えたと言える。 2.台湾の「クロスロード:台湾土石流編」の作成 今年度は台湾政府行政院水土保持局の「土石流防災専員」プログラム(土石流防災の地域リーダー育成)と連携し、「クロスロード:台湾土石流編」を作成した。たとえば、「あなたは防災専員。どしゃ降りの中、あなたは避難誘導を続けるか?YES続ける NO先に避難する」などの設問を作成した。台湾はトップダウン体制が強かったが、近年、地域の防災リーダーとコミュニティが積極的に防災活動に参加する取り組みが目立っている。トップダウン型の体制から住民主体へとどのように移行していっているのか、「クロスロード」の取り組みを通じて、これから分析する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度では、出産・育児したため、これまでの研究成果および今後の研究に関する参考文献の整理・分析に時間を集中させた。資料の整理・分析に関してはほぼ予定通り進んでいた。また、フィールドワークへ行くことは難しいが、情報収集や研究対象へのコンタクトは行っており、フィールドの状況を把握できた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の当初の計画では、今年度は最終年度だが、研究代表者は出産・育児したため、フィールドワークや研究成果を執筆することは困難であった。来年度は、これまでの研究成果をまとめ、海外の英文雑誌、日本の学会で発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度は、出産・育児のため、本来予定していたフィールド調査による旅費および英文論文の投稿に関する支出ができなかった。そこで、来年度調査及び論文の投稿費用として助成金を使用することになる。
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