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2018 年度 実施状況報告書

チンパンジーにおけるストレス長期化に関わる認知メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K17828
研究機関京都市動物園

研究代表者

山梨 裕美  京都市動物園, 生き物・学び・研究センター, 主席研究員 (80726620)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワードチンパンジー / 長期的ストレス / 行動傾向
研究実績の概要

本研究はヒトにおけるストレス長期化メカニズムを進化的な観点から考察するために、チンパンジーのストレス長期化に関わる要因をあきらかにするものである。今年度は熊本サンクチュアリのチンパンジーにおいて、高順位個体間での行動の違いと長期的ストレスの関連について分析を行った。高順位個体の中でも、採食が独占できるような個体に関してはストレスレベルが低いことがわかった。このように、オスにおいて社会関係との関連などが様々見つかってきているが、メスにおいてははっきりしていない。メスにおいても毛づくろいから見られる社会関係と長期的ストレスレベルの分析を行ったが、影響が見られなかった。また、今年度は同じ霊長類であるコモンマーモセットを対象とした長期的ストレスと行動及び遺伝的基盤に関する共著論文が出版された。長期的ストレスレベルの指標としてこれまでチンパンジーで用いてきた体毛中コルチゾル測定を応用し、検討を行ったところ社会性やいくつかの遺伝子との相関が検出された。同様の傾向がチンパンジーでも見つかるかどうかが今後の検討事項である。さらに、昨年度までに行った本研究プロジェクトに関連した日本語での論文の掲載され、その他3本の論文が査読中または印刷中となっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

チンパンジーにおける長期的なストレスレベルと行動傾向の関連までの検討が進んでいる。ただし、その他の共同研究なども多く、チンパンジーの短期的な生理学的ストレスレベル評価手法など進められていないこともある。

今後の研究の推進方策

複数の研究者と共同することで、効率よく研究を推進できるように工夫する。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 3件)

  • [雑誌論文] 大型類人猿の社会性に配慮した飼育管理:実践と研究の視点から2019

    • 著者名/発表者名
      山梨裕美・櫻庭陽子
    • 雑誌名

      動物心理学研究

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [雑誌論文] チンパンジーの社会関係と長期的なストレス:研究領域としての動物福祉2019

    • 著者名/発表者名
      山梨裕美
    • 雑誌名

      霊長類研究

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Common marmoset (Callithrix jacchus) personality, subjective well-being, hair cortisol level and AVPR1a, OPRM1, and DAT genotypes2018

    • 著者名/発表者名
      Inoue-Murayama Miho、Yokoyama Chihiro、Yamanashi Yumi、Weiss Alexander
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 8 ページ: 10255

    • DOI

      10.1038/s41598-018-28112-7

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] チンパンジーの毛からストレスをはかる - 社会関係が大事2018

    • 著者名/発表者名
      山梨裕美・寺本 研・野上悦子・森村成樹・平田 聡
    • 雑誌名

      科学

      巻: 88 ページ: 5

  • [雑誌論文] 動物園のチンパンジーがもつ生活スキルに関する調査.2018

    • 著者名/発表者名
      京都市動物園
    • 雑誌名

      動物園水族館雑誌

      巻: 60 ページ: 36-52

    • 査読あり
  • [学会発表] 動物園におけるふれあい手法の違いがテンジクネズミの唾液中コルチゾル濃度に与える影響2019

    • 著者名/発表者名
      島田かなえ,高橋葵, 中原文子, 山梨裕美
    • 学会等名
      動物の行動と管理学会2019年春季研究発表会
  • [学会発表] 京都市動物園におけるアニマルウェルフェア向上の取組:リスク評価と実践を組み合わせたサイクルの試行2019

    • 著者名/発表者名
      山梨裕美,櫻庭陽子,伊藤二三夫, 竹中靖典,門竜一郎
    • 学会等名
      動物の行動と管理学会2019年春季研究発表会
  • [学会発表] Development of bed‐building behaviors in captive chimpanzees: implication for critical period hypothesis and captive management.2018

    • 著者名/発表者名
      Yamanashi Y, Bando H, Ito F, Matsunaga M, Mizuno M, Shimada K, Kado R, Tanaka M.
    • 学会等名
      International Primatological Society XXVII Congress
    • 国際学会
  • [学会発表] Filling the gap: an update from the Kyoto City Zoo and an invitation to the ICEE2019.2018

    • 著者名/発表者名
      Yamanashi Y, Sakuraba Y, Torii H, Ito F, Iwahashi N
    • 学会等名
      10th International Symposium on Primatology and Wildlife Science
    • 国際学会
  • [学会発表] Tool-use as environmental enrichment for zoo-housed gorillas.2018

    • 著者名/発表者名
      Yamanashi Y, Utagawa M, Ito S, Yasui S, Nagao M, Tanaka M
    • 学会等名
      International Gorilla Workshop
    • 国際学会
  • [学会発表] アラビアガム給餌による飼育下レッサースローロリスの腸内細菌叢の変動2018

    • 著者名/発表者名
      松島慶,山梨裕美,奥村文彦,廣澤麻里,藤森唯,寺尾由美子,佐藤良,西野雅之,土田さやか,牛田一成,早川卓志
    • 学会等名
      第34回日本霊長類学会大会
  • [学会発表] 飼育チンパンジーにおけるベッド作り行動の発達プロセス2018

    • 著者名/発表者名
      山梨裕美,板東はるな,伊藤二三夫,松永雅之,水野章裕,島田かなえ,門竜一郎,田中正之
    • 学会等名
      第34回日本霊長類学会大会
  • [学会発表] 飼育レッサースローロリスの腸内乳酸菌の特徴2018

    • 著者名/発表者名
      土田さやか,山梨裕美,早川卓志,松島慶,牛田一成
    • 学会等名
      第34回日本霊長類学会大会
  • [学会発表] 動物園のチンパンジーがもつ生活スキルに関する調査: 来歴・性別が行動に与える影響.2018

    • 著者名/発表者名
      山梨裕美, 森村成樹,田中正之
    • 学会等名
      SAGA21シンポジウム

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公開日: 2019-12-27  

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