研究課題/領域番号 |
17K17830
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
佐藤 康之 東京理科大学, 工学部電気工学科, 助教 (40738803)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 制御工学 / 制御理論 / 非線形制御 / 最適制御 / 入力・状態拘束 |
研究実績の概要 |
本研究課題は,入力・状態拘束を有する非線形システムに対する最適制御則の統一的な設計法の確立を目指すものである.具体的には,制御リアプノフ関数に基づいた逆最適制御則設計法を入力・状態拘束系に対して拡張するとともに,得られた知見に基づいた新たな拘束条件付き非線形モデル予測制御アルゴリズムを開発することを目的としている. 初年度である平成29年度は,入力拘束を持つ非線形システムに対して,制御リアプノフ関数と凸最適化理論に基づいた逆最適制御則設計法を構築した.この設計法は,凸最適化におけるkarush-Kuhn-Tucker条件と最適制御問題におけるHamilton-Jacobi-Bellman方程式の等価性に基づくものであり,入力拘束が存在する場合でも意味のある評価関数を最小化するような制御則の設計が可能である.また,最小化される評価関数の形状とロバスト性の関連についても理論的な解析を行った. 当初の計画では,状態拘束の取り扱いについてシステム蘇生変換とよばれる微分同相写像を用いることを想定していたが,検討を進める中で制御バリア関数を用いる方が上記設計法との相性が良いことが明らかになった. 実システムへの応用に関して,研究計画では埋め込み永久磁石同期電動機のみを想定していたが,本年度はこれに加えて小型の4回転翼UAVへの応用に関する検討を行った.具体的には,制御リアプノフ関数を用いた様々な制御則を設計し,数値シミュレーションによりその有効性を検証した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,最大の目標であった入力拘束を考慮した逆最適制御則設計法を構築することができた.状態拘束の取り扱いについても,制御バリア関数による方法が有望であるとの知見が得られた.また,4回転翼UAVへの応用可能性について検討することができた点は,当初の計画以上の進展があったといえる. 研究代表者の所属機関変更に伴いモデル予測制御に関する進捗はやや遅れているものの,総合的に評価しておおむね順調な進捗であると考える.
|
今後の研究の推進方策 |
前年度に構築した設計法に制御バリア関数を組み合わせることで,入力・状態拘束を考慮した逆最適制御則設計法を提案する予定である.さらに,この設計法の構築過程で得られた知見を応用した,新たな拘束条件付き非線形モデル予測制御アルゴリズムについても検討を進めていきたい.実システムへの応用としては,埋め込み磁石同期電動機および4回転翼UAVを対象に実機実験を行い,提案した設計法の有効性を検証する.また,前年度の研究成果の公表にも力を入れて取り組みたい.
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の所属機関変更に伴い,購入を予定していたソフトウェアの購入が必要なくなったこと,また国際会議への参加を見合わせたことにより,次年度使用額が生じた. 次年度は,初年度に得られた研究成果の公表を重点的に行うため,国際会議・国内会議のための旅費,学術論文誌への論文投稿料および英文校正料の支出を予定している.また,実機実験および研究打合せを行うのための旅費としても使用する予定である.
|