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2018 年度 実施状況報告書

新たな小農アブラヤシ生産認証制度に向けた研究:利害のフィットネス・生活の持続

研究課題

研究課題/領域番号 17K17836
研究機関東洋大学

研究代表者

寺内 大左  東洋大学, 社会学部, 助教 (10728140)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード国際資源管理認証制度 / アブラヤシ / インドネシア / 地域研究
研究実績の概要

2018年度はRSPOの「原則と基準」の内容と、インドネシアによる「原則と基準」の国家解釈を精査した。そして、「原則と基準」がインドネシア(特に東カリマンタン州とリアウ州)の農村地域に適応された場合に、現場で生じうるであろう不公平・リスク・受苦・矛盾について考察した。その結果、以下の3つのことが考えられた。
原則2は「法律・規則の遵守」を原則としているが、現行の法律・規則のもとで起きている問題を不問にしてしまうというリスクを有していると考えられた。例えば、小規模農家は違法な場所(林地)に農園を造成しているが、これは村周辺の利用しやすい土地に対して政府が企業に事業権を発行していることに起因していたり、政府による不適切な「林地(農園造成不可能エリア」「非林地(農園造成可能エリア)」の境界策定によって生じている場合が存在した。
原則4は「最善な生産方法の採用」を原則としているが、ここでいう最善な生産方法は国家解釈によってプランテーション技術とされていることが明らかになった。一方で、小規模農家が実践するアグロフォレストリー技術の生産方法は、生態面、経済面において持続性が高いと評価されてきたにもかかわらず、この技術は最善な生産方法とは捉えられていない実態が明らかになった。
最後にRSPOの「原則と基準」そのものに潜むリスクとして、認証を取得し、企業と有利に交渉する小規模農家グループが存在する一方で、認証を取得できない多くの一般小農の政治的立場を下げ、企業の優位な関係性を強化してしまうリスクがあると考えられた。すなわち、企業が小農をコントロールするための政治的ツールとして認証が利用されるリスクが存在すると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2018年度は2019年3月の現地調査を行うことができなかったため、進捗状況が遅れてしまった。RSPO関連の資料調査は予定通り順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

2019年3月にフィールド調査を行えなかったので、次回の調査で遅れを取り戻す必要がある。フィールド調査時に調査助手を雇用し、効率よく必要なデータを収集する予定でいる。
2019年度の研究計画として、8-9月に現地調査を実施する予定でいる。その時、課題2の「利害関係者の認証制度の運用実態」に関する調査を実施する予定でいる。具体的には、農園省、NGO、国際機関、農園企業、協同組合を対象に、1)小農アブラヤシ生産の現状に対する問題認識、2)具体的な取り組み、3)期待する成果、について聞き取り調査を行う予定でいる。時間的に可能であれば、パーム油の国際資源管理認証RSPOを取得した農民協会に聞き取り調査を実施し、組合員の生計状況の調査を行う予定でいる。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由は、2019年3月に予定していた海外現地調査を行うことができなかったためである。この資金は2019年度の海外現地調査時に調査助手を雇用する費用として使用し、効率的に現地調査を行えるようにする計画でいる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 石炭が蝕む熱帯林と大気と人々の生活2019

    • 著者名/発表者名
      寺内大左
    • 雑誌名

      グリーン・パワー

      巻: 4月号 ページ: 26-29

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 小農RSPO認証制度の背後にあるリスク2018

    • 著者名/発表者名
      寺内大左
    • 学会等名
      日本熱帯生態学会大会
  • [学会発表] ボルネオ島中央部生態系保全へのSDG等国際枠組みの活用―参加原則に関するインドネシアおよびマレーシアの比較検討2018

    • 著者名/発表者名
      井上真・藤井紘司・角田一樹・寺内大左・大久保規子
    • 学会等名
      林業経済学会大会

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公開日: 2019-12-27  

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