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2017 年度 実施状況報告書

遺伝子変異によるタンパク質立体構造の動態変化検出手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K17837
研究機関京都大学

研究代表者

鎌田 真由美  京都大学, 医学研究科, 准教授 (70749077)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワードタンパク質立体構造ダイナミクス / ゲノム医療 / 分子動力学シミュレーション / ウェーブレット解析
研究実績の概要

本研究の目的は、分子機能や薬剤感受性に影響を与える遺伝子変異によるタンパク質立体構造の動的挙動変化を検出、さらに変化に関連する構成原子領域を特定する手法の開発である。平成29年度は、まず、解析対象の選定および時系列データの作成と検証、そしてウェーブレット変換による対象とするダイナミクスの抽出を行った。薬剤耐性について生化学的実験においても多くの研究報告があるEGFR(epidermal growth factor receptor)に着目し、第1世代EGFR阻害剤であるGefitinib(イレッサ)に対する薬剤感受性が、既存研究により実験的に検証されている2変異体(薬剤奏功変異L858R, 耐性変異G719S)と野生型を解析対象として選定した。これら変異体のキナーゼドメインの立体構造は既にX線解析により決定されていた為、Protein Data Bankからタンパク質立体構造データを取得し、ホモロジーモデリングを用いて欠損領域の補完を行った上で、各構造に対して50nsの分子動力学シミュレーションを実施した。シミュレーションの結果得られたデータが、既報通りの薬剤耐性を再現できているのかを確認するために、MM-PB/SA(Molecular Mechanics-Poisson Boltzmann/Surface Area)法を用いて薬剤とタンパク質との結合自由エネルギーを算出し、データの妥当性について検証した。さらに、シミュレーションで得られた2変異体と野生型の時系列データに対し、Morlet waveletを用いた連続ウェーブレット変換を適用した。今回対象とする薬剤耐性変化に関連する動きのスケールと一致するよう周波数スケール範囲の策定を行い、特異値分解を用いた集団運動性の評価指標の算出し、その挙動について検証を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

シミュレーション結果の妥当性確認において、実験データの再現率が当初想定より低く、検証・シミュレーションの再実行が必要となり、少々の遅れが生じている。しかし、29年度実施予定であった、解析対象の選定および対象から得られた時系列データに対するウェーブレット変換の適用が実施済みであることから、平成30年度の実施計画である異常検出アルゴリズムの適用、拡張の実施に影響はない。

今後の研究の推進方策

時系列データの検証結果に基づき、シミュレーションデータの改良およびウェーブレット解析の適用を行う。得られる時系列データに対し、k近傍法等の異常検出アルゴリズムの適用を行い、野生型と変異型で変化の生じる部分時系列の抽出を行う。また、抽出された動態変化を示す部分時系列に基づき異常部位を同定するため、検出の基準となる異常値に、ウェーブレット変換と特異値分解により得られる原子空間と周波数成分に関する特徴ベクトルと状態空間モデルに基づく異常検出手法を用いて検出アルゴリズムの改良を行い、タンパク質のダイナミクス固有の時空間階層性を考慮した検出手法を作成する。

次年度使用額が生じた理由

物品購入の際に、若干の差額が生じたため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Feature extraction using wavelet transformation to reveal genomic variant effects on binding affinity of EGFR2018

    • 著者名/発表者名
      Mayumi Kamada, Mikito Toda
    • 学会等名
      The Asia Pacific Bioinformatics Conference (APBC) 2018
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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