研究課題/領域番号 |
17K17842
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山泉 実 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 講師 (80592336)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 名詞句 / 認知語用論 / 認知意味論 / 自由拡充 / 潜伏疑問 / 高階の変項名詞句 / 指示参照ファイル |
研究実績の概要 |
2018年度は、2017年度に大枠を構築した指示参照ファイル理論によって、各種コピュラ文、各種存在文、高階の変項名詞句、各種変化文、潜伏疑問文・潜伏命題文、不透明文脈、名詞句の自由拡充など各種現象を分析し、理論を精緻化した。その分析を以下の研究会で口頭発表した。独自の理論の前提・大枠から話す必要があり、短い口頭発表には適さないため、小規模な研究会で2~6時間の発表を重ねた。 「認知的枠組みによるコピュラ文と名詞句の分析」(第101~103回慶應意味論・語用論研究会) 「指示参照ファイルによる名詞句の認知意味論・認知語用論 その2、その3、その4、その5」(2018年度 言語学シュンポシオン第1~3回、第1回 オフライン哲言語学会) その他、2019年度以降、研究成果を発表する準備(ICLC2019(第15回 International Cognitive Linguistics Conference)に応募、採択)と、 指示参照ファイルによる名詞句の認知意味論・認知語用論の理論の源流となった以下の2冊の翻訳を進めた。(Jackendoff, Ray. 2012. A User’s Guide to Thought and Meaning. Oxford: Oxford University Press. /Scott-Phillips, Thom. 2015. Speaking Our Minds: Why Human Communication is Different, and How Language Evolved to Make it Special. Basingstoke: Palgrave MacMillan.)共訳者の都合などにより大幅に刊行が遅れているものの、どちらも2019年度中に刊行予定。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、独自の理論を構築しており、その前提・大枠から話す必要があり、短い口頭発表や投稿論文には適さないため、研究成果の公刊は遅れているものの、当初予定していた現象は大体扱えるという目処が立ったため。
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今後の研究の推進方策 |
1.引き続き、構築した理論で具体的な言語現象を分析し、理論を精緻化する。今後特に注目したいのは、各種コピュラ文、各種存在文、各種潜伏疑問文。また、固有名、確定記述、不透明文脈など、指示に関する言語哲学で論じられているトピックについても同理論を適用し分析を試みる。 2.上の現象を扱っている他の理論(メンタル・スペース理論、メンタル・ファイル理論など)を精査し、参考とする。 3.理論を言語(能力)研究のより広い文脈(例えば、ジャッケンドフ『言語の基盤』(岩波書店)で提示されている並列機構)の中に位置づける。 4.口頭発表を行う。現時点で、第15回 International Cognitive Linguistics Conference(Title: A cognitive-pragmatic account of specificational sentences)と、日本言語学会第158回大会(タイトル:極性疑問が潜伏している名詞)に採択済み。 5.口頭発表のフィードバックも参考に、投稿論文を執筆する。 6.それと並行して、単著の執筆を進める。現在、出版提案書・目次を出版社に持ち込み、検討中。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度は海外での国際学会参加を見送った。その代りに、2019年度に国際学会で発表することにし(採択済み)、費用をそちらに回すことにした。そのため次年度使用額が生じた。
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