研究課題
超高齢社会を迎えたわが国において,健康長寿を達成することが望まれている.筋肉量,筋力,身体能力の低下(サルコペニア)は,高齢者の自立喪失,要介護の原因となると考えられている.また,身体機能の低下が顕在化する前に,早期介入を行ことで,一次予防による健康維持を促すことが,今後非常に重要である.このことは,高齢者のQOLを高めるとともに,医療費の削減など社会的意義は大きい.これまでに,口腔機能と身体機能との関連が報告されており,栄養摂取がその関連を媒介するものと考えられている.しかしながら,この一連のメカニズムについては,推察されているものの,エビデンスは未だ確立されていない.これまでに我々は,横断研究の結果から,口腔機能の一つである咬合力の低下が,タンパク質摂取の不足や,身体機能の低下と関連することを明らかにしてきた.しかし,横断研究では,加齢による変化を検討できないため,因果関係を求めることはできない.そこで今回,6年間の前向き研究を行い,自立した生活を送っている高齢者を対象に,初回の調査から3年後と6年後に調査を行い,初回調査時の口腔機能と栄養摂取,さらに筋肉量,筋力,身体能力の低下(サルコペニア)の発症ならびに進行との関連について検討した.その結果,80歳時に咬合力が低い高齢者において,83歳時に低栄養となる可能性が示された.また,86歳時の高齢者において,サルコペニア群と正常群の間における咬合力について検討すると,サルコペニア群の咬合力の方が有意に低かった.今後も調査を継続し,口腔機能の維持が,健康長寿を創ることを明らかにしていきたいと考えている.
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