研究成果の概要 |
本研究は、分子内にアントラセン骨格をできるだけ密に集積させた「πクラスター分子」と呼べる密集型π電子系化合物の合成および得られた化合物の基礎物性の知見を得る事を目的として実施した。目的化合物の一つであるベンゼン環の隣接位に四つのアントラセンを導入した化合物(1,2,3,4-テトラアンスリルベンゼン)の合成を試みたが、研究期間中にそれを得ることは出来なかった。一方で、メチル基に三つのアントラセンを導入したトリアンスリルメチル(TAntM)ラジカルの合成に成功した。嵩高いアントラセンによる速度論的安定化、1000nmに及ぶ近赤外吸収など様々な興味深い特性を明らかにすることができた。
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