研究課題/領域番号 |
17K17854
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
坂本 陽子 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (30444053)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 重症心不全 / 栄養管理 / 安静時消費エネルギー |
研究実績の概要 |
入院中の重症心不全患者を対象に、間接熱量計による安静時消費エネルギー測定および血清・尿の生化学的分析を行い、心不全患者には安静時消費エネルギーの亢進があるのかどうか、またその亢進は重症度と関連しているのか、さらに低栄養を予見しうる有用な生化学的指標がないかどうかについて検討を行っている。 血行動態が安定した心不全患者では予測される安静時消費エネルギーよりも高値であり、心不全そのものによる安静時消費エネルギーの亢進はあると考えられた。心機能指標などとの相関を統計学的に解析したところ、心機能指標との相関は認められず、統計学的に有意であったのはBMI(Body mass index)のみであった。もともとるい痩患者では安静時消費エネルギーが亢進していると言われているが、これは心不全患者でも同様であることが明らかとなった。間接熱量計による個々人の安静時消費エネルギー実測により、患者に適正なカロリー量を指導できるとともに、食事量の見直しを行うことでカヘキシー予防に一定の効果が得られた。 また食事摂取量不足を予測しうる生化学的因子についても有用な候補因子を見出しており、これについて比較検討を行っている。もともと慢性期心不全患者では、血中アルブミン値も比較的高く保たれており、体重減少を治療目標としていることから、体重減少が治療効果によるものなのか、食事摂取量不足を反映したものなのか区別が一般的に難しい。今回見出した候補因子は血中アルブミンが高値でも食事摂取量不足の際には低値を示しており、低栄養の客観的評価に有意義である可能性が考えられる。 複数の学会で発表を行い、第54回日本成人病(生活習慣病)学会では会長賞を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ収集については完了し、現在統計学的解析を加えて論文作成中であり、投稿予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今まで収集したデータについて統計学的解析を加えて論文化を図る予定である。また国際学会への発表も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初見込んでいたサンプル解析に要する費用が既存のデータを用いることができたため不要となったため。またコロナウイルス感染拡大により複数の学会発表が中止となり旅費が不要となったため。
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