研究実績の概要 |
重症心不全患者において、間接熱量計にて測定した安静時消費エネルギー(REE)は、Harris-Benedictの予測式による予測REEと比較すると平均4%程度亢進していた。また心不全重症度などとの相関について解析したところ、BNP値や右心カテーテル検査パラメータ、心不全stage分類との相関は認められず、唯一体格指数(BMI)と逆相関が認められた(r=-0,66, p<0.0001)。このことは、低体重(BMI<18.5㎏/㎡)の心不全患者において、必要エネルギーがより大きいことを示唆する。実際に安静時消費エネルギーは低体重群において27.8kcal/kg/dayであり、必要エネルギーに換算すると36-39kcal/kg/dayと、従来の簡易的な必要エネルギー量の計算(25-30kcal/kg/day)では大幅に不足するため、栄養管理の際の必要エネルギーの設定には留意すべきであると考えられた。 また血液・尿中アミノ酸分析を解析した結果、実測REEに基づいた必要エネルギーを充足していない群は、充足している群に比べて、血中Albumin値および必須アミノ酸値は正常範囲内であったものの、尿中必須アミノ酸値は正常値を大きく下回り低下していた。尿中アミノ酸は血液アミノ酸に先行して低下し、エネルギー不足を鋭敏に反映しうる有用な指標になりうると考えられた。 以上の結果について、2020年日本循環器病学会、アメリカ循環器学会にて発表を行った。
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