研究実績の概要 |
令和4年度は、前年度までにアプリによる介入およびデータ収集を完了した、睡眠習慣に課題をもつ1歳半の子どもとその養育者を対象とした睡眠習慣データ・養育者のアンケートデータ・養育者への詳細なインタビューデータについて、フォローアップ時点までのデータの整理および解析を無事完了し、英語論文を完成させた。介入の有効性については、睡眠リズムや寝つきの問題等の改善に加えて、子どもの睡眠への支援によって養育者の育児効力感の向上にも貢献すること(家庭支援効果)を確認した。さらに、睡眠習慣の改善によって子どもの社会性の発達を促進しうる可能性についても確認し、発達早期の睡眠への支援により子育てへのサポートと子どもの健康的な発育に貢献できる可能性を明らかにした。また、専門家が送ったアドバイスの内容・回数と、養育者が「実践するアドバイス」に選択した割合の比較等により、養育者の行動変容に関連する要因を検討した。本論文はJMIR mHealth and uHealthに掲載された(Yoshizaki et al., 2023)。この成果に関して、論文掲載後にプレスリリースおよび記者発表を行って社会的周知につとめ、新聞・オンラインニュース等で報道された。 さらに、本アプリの研究成果について関連学会・シンポジウム等で積極的に発表および意見交換を行い、子どもの睡眠の重要性の社会的周知と子育て支援の側面からの重要性についても啓発につとめた。 今後さらに養育者の行動変容プロセスに関するデータを整理し発表するとともに、「子どもの眠りリテラシー」を本邦の養育者および家庭支援に携わる職域にも広く伝え、本邦の養育者のサポートと子どもの眠りを大切にする社会づくりのために提言を行っていく。
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