研究課題
東京大学医科学研究所藤堂教授らが開発した世界で初めての第三世代がん治療用HSV-1であるG47Δの基本骨格に任意の外来遺伝子を組み込むことができるT-BAC システム(Fukuhara H, Todo T et al. Cancer Res, 2005)を用いてG47Δ と同様の機能を有するウイルスが作成開発され(T-01)、免疫刺激因子であるマウス可溶型B7-1 およびマウスIL-12 発現型ウイルス(T-B7-1,T-mfIL12)が開発された。このT-mfIL12 およびT 細胞活性の共刺激因子である可溶性B7-1 を発現する T-B7-1 を用いることで、さらに高い抗腫瘍効果が得られるのではないかと考え、DBA/2 マウス由来扁平上皮癌細胞株KLN205-MUC1 を用いて新規に開発した、ヒトの口腔癌と同様の転移様式を辿るマウスモデル(腫瘍生着後舌腫瘍を切除すると、微小頸部リンパ節転移巣が増大し、その後肺転移を来す)を用いてこれらのウイルスの効果を検討した。舌へ投与したウイルスは直後に頸部リンパ節へ移行し、頸部リンパ節で殺細胞効果を示すことがこのモデルでも明らかとなり、ウイルス投与直後に原発巣である舌腫瘍切除し、生存期間を確認したところ、両ウイルス共にコントロールウイルスであるT-01 より高い生存延長効果を示した。また、ウイルス投与後30日目の頸部リンパ節を摘出して比較したところ、T-01に比して両ウイルス投与群は頸部リンパ節が優位に小さい傾向にあった。すなわち、これらのウイルスが頸部リンパ節転移巣に流入するごくわずかなウイルスにより、これまでの第三世代がん治療用HSV-1よりさらに、強力な頸部リンパ節転移抑制効果があることがマウスモデルで示唆された。
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Oncotarget
巻: 9 ページ: 33931~33946
10.18632/oncotarget.26092