研究課題/領域番号 |
17K17857
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研究機関 | 盛岡大学 |
研究代表者 |
飛内 悠子 盛岡大学, 文学部, 准教授 (40773411)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | キリスト教 / 南スーダン / アフリカ / 信仰覚醒 |
研究実績の概要 |
2021年度もコロナ禍の影響により現地調査を行うことが難しかったため、文献調査の成果公表に従事した。人類学におけるキリスト教についての研究を整理し、その意義と今後の展望について論じた論文を公刊した。そこでは、キリスト教が主に欧米の人類学者にとって「不快な他者」であったことにより「雑音」とされてきたこと、そしてその状況を変えようとする動きがみられるが、まだ発展途上にあるということ、そしてその発展に非西洋の人類学者が貢献できる可能性が高いことが示された。これにより本研究の人類学における位置づけを行うことが可能となった。さらにこれまで収集したアーカイブ資料を整理し、南スーダンとウガンダにまたがる教区の概略を明らかにする論文を執筆した。植民地期のキリスト教宣教師団が2つ以上の国家を含む教区を設立することはあったが、それぞれの領地の一部を切り取る形で教区を設置することは珍しい。その1事例となった英国教会宣教教会アッパーナイル教区が、宣教師団独自の意向により設立され、だがその運営にあたっては植民地政府との関係を考慮せざるを得なかったこと、そして二つの国家にまたがる教区の運営が困難であったため、最終的に分割をせざるを得なかったこと、そして分割にあたっては、各教区がそれぞれの教区の運営の都合を国家との関わりから鑑み、議論したという歴史を明らかにすることを通し、宣教師団と植民地政府との関係の一端を提示することを試みた。論文は学会誌に投稿済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により、現地調査が不可能であったため、当初予定していたウガンダでの調査ができず、信仰覚醒者からのライフヒストリーの聞き取りができなかった。その一方、文献調査を想定より進展させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、2年間行えていない現地調査を行う予定である。ウガンダ中部において信仰覚醒者のライフヒストリーの聞き取り、および信仰覚醒者の生活、信仰覚醒運動の活動の参与観察を行い、課題となっている信仰覚醒者が共通して持つ「神を受け入れる」という経験の意味について明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により調査ができなかったため、旅費を使用しなかった。次年度は調査を行う予定でいるため、次年度に回した分は調査旅費とする。
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