研究課題/領域番号 |
17K17858
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
東 園子 京都産業大学, 現代社会学部, 准教授 (40581301)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ジェンダー / 男性性 / 男同士の絆 / やくざ映画 / 日本映画 / 戦後社会 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本社会における「男らしさ」の転換期とも評される1960~1970年代に、その暴力性や男同士の絆の描写などによって男性から人気を博した東映制作のやくざ映画において、どのような「男」のイメージが見られるか、また、それがどのように変化していったかを分析することを通して、戦後の日本社会における男性性(masculinity)と男同士の絆・暴力との関係と、その変容を考察することを目的とするものである。戦後の日本社会で主導的だった「一家の大黒柱」という形での「男らしさ」の実現は、現在の社会状況では困難になりつつある中、女性等への暴力によって「男らしさ」を達成しようとする男性も少なくないように見受けられる。戦後日本社会の文脈において男性性と暴力がどのような形で結びついていたかを明らかにすることは現代的な意義を持つと考え、本研究を遂行している。 2022年度は、やくざ映画ジャンルがどのようなものとして形成されていったかを考察するため、やくざ映画のポスターやプレスシートなどの宣伝印刷物の収集を進め、初期のものを中心に分析を行った。1960年代のやくざ映画の多くにはヒロインが登場し、男性主人公との恋模様が描かれるが、宣伝印刷物においてはその点が惹句に盛り込まれたり宣伝ポイントとして取り上げられることはあまりなく、人気のある女性俳優が出演していてもポスターに登場しないなど、宣伝上では恋愛要素は後景に退いていた。その一方で、男同士の絆の強調が見られるようになり、やくざ映画が男同士の関係を描くジャンルとして形成されていく様がうかがえた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで新型コロナウィルス感染症流行のため出張が困難になる等の理由によって滞っていた資料収集や調査の遅れを取り戻せなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、遅れていた資料収集・調査・分析を進める予定である。今後の新型コロナウィルス感染状況次第で、予定していた調査や資料収集ができなくなる可能性がある。その際は、入手可能な別の資料での分析を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症流行の影響で滞っていた資料収集・調査の遅れを取り戻せなかったため。 次年度使用額は、主に今年度収集できなかった資料の複写費・旅費・謝金等で使用する予定である。
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