令和元年度においては、平成30年度において国際学会(29th International Congress of Applied Psychology)にて発表された研究について、英語論文(応用心理学研究英文特集号号 査読あり)での公表を目指し、執筆活動を行った(令和2年度4月1日付でaccecpt)。またそれに関連し、該当研究の追試を行った。具体的には、平成29年度に実施した様々なリスク受容におけるベネフィット(見返り)の認知を構成する要因について、平成29年度研究では扱わなかった日常でのリスク受容行為を先行研究の尺度を基にリスト化し、項目の選別を行った。様々な年代の計200名を対象とした質問紙調査を調査会社を通じてWEB形式にて実施した。その結果、行為に対する態度の評価について、平成29年度調査時に使用したリスク受容行為の分布と概ね一致する項目が複数得られた。そのため、これらにおいては、平成29年度調査にて使用されたベネフィット認知に関する基準にて同様に評価可能であるかどうか、今後検討する必要がある。 さらに、平成30年度にて実施した利得の感受性に関する研究について、英語論文(Japanese Psychological Research 査読あり)にて論文を発表した(令和元年度12月5日付でaccept)。 以上の研究成果を鑑みると、リスク受容に伴うベネフィット認知においては、リスク認知と同様に感情的な側面に大きく依拠し、かつその認知は外部要因(実験結果では第3者における利得の感受性の変化)によって容易に変容しうるものである可能性が指摘される。
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