研究課題/領域番号 |
17K17877
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
経済政策
地域研究
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
村上 善道 神戸大学, 経済経営研究所, 助教 (50709772)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ラテンアメリカ / チリ / 地域貿易協定 / グローバル・バリューチェーン(GVC) / 賃金格差 / 生産性 |
研究成果の概要 |
ラテンアメリカ14ヵ国を対象とした分析から、グローバル・バリューチェーンへの統合は一人当たり所得を上昇させるが、同時に国内の所得格差も拡大させることを明らかにした。また2000年以降のチリを対象とした分析からは、この時期に進んだ地域経済統合による実行関税率の低下は、輸入競争の強化による生産性の向上を通して産業賃金プレミアムを上昇させるが、その効果は大企業で雇用される技能労働者程大きく、技能・非技能労働者間の賃金格差を拡大させることを明らかにした。一方で同時期のチリにおいて高等教育の拡大と多様化が賃金格差を縮小させる効果があることも明らかにした。
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自由記述の分野 |
国際経済学・ラテンアメリカ経済論
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
チリにおいて2000年以降を対象に家計調査データおよび事業所レベルデータ両方の詳細な情報を用いて新たなデータセットを作成し、地域貿易協定の結果発効される実行関税率を貿易自由化の指標として用い、さらに結果の頑健性も十分に検証した点で、本研究は特にオリジナリティの高いものとなっている。またグローバル・バリューチェーンのような新たな側面を考慮しても、グローバル化は平均的に利益をもたらすが、特に高所得者に偏って利益をもたらすという結果は、近年ラテンアメリカで頻発する社会騒乱の背景を明らかにするものである。さらに、技術水準の向上と高等教育の拡大が所得格差を緩和し得るという政策的含意の高い結果も示した。
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