研究課題
本研究では、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)とシグナル伝達機構を利用して酵母の代謝工学に応用できる代謝物センサを開発することを目的とした。モデルとしてGPCRの一種であるヒト由来メラトニン受容体を選択し、発現量やメラトニンに対する親和性を改変することで感度調節し、様々な濃度のメラトニンを検出できるシステムの構築に成功した。また、添加するリガンドをメラトニンからメラトニン生合成経路の中間物質に変更したところ、受容体の変異体では応答しなかったことから、受容体の変異体を用いることでメラトニンを特異的に検知可能な代謝物センサの開発に成功した。このことからGPCRを利用したバイオセンサは感度調節により、中間体には応答せず、目的物質のみ応答するという特異性の高さが確認された。さらに、メラトニン生合成経路を再構築したメラトニン生産株を作製し、メラトニンの生産性を評価するために構築したセンサを適用した。メラトニン生産株の培養上清をセンサ株でセンシングする2細胞系、および、メラトニン生産株にセンサを導入した1細胞系、の2つのアプローチを試みたところ、ともにメラトニンの生産性に応じて蛍光を示す結果が得られた。どちらのセンシングアプローチにおいても、適切なレンジをもったセンサを利用することで、蛍光強度からメラトニンの生産量をモニタリングすることが可能なシステムの開発に成功した。今後は、本研究で構築したメラトニンセンサを用いることで、メラトニン生産性の向上した酵母細胞集団をその蛍光強度により選抜することが可能であることが示唆された。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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