研究課題
本研究は、太陽自身の振動(g-mode振動)による太陽内部の周期的な密度変化を起源とする、太陽ニュートリノ生成率の時間変動を探索することを主目的としている。本年度はSuper-Kamiokande実験(以下SK実験)の太陽ニュートリノ観測におけるバックグラウンド事象の時間変化を評価する研究を実施した。まず昨年度に引き続き、SK実験の超純水中に含まれるラドン由来のバックグラウンドと、実際のラドン濃度との対応を評価した。最終的に、6 MeV未満のバックグランド事象は基本的にラドン由来のバックグラウンド事象であることが理解できた。及び、バックグラウンド事象に周期的な変動は観測されなかった。一方で、8 MeV以上のバックグランド事象も時間的な変動をしていることが分かった。これは大気で生成されるミューオンが超純水中の酸素原子を破砕した時に生成される放射性物質由来のバックグランド事象であり、ミューオン飛来数が、大気の温度に依存して周期的変動することに由来する。このような背景から、本年度の後半は大気で生成されるミューオンの時間的な変動を評価し、バックグラウンドの変動がすべてミューオン由来であるかを評価するためのアルゴリズム開発を推進した。以上より、太陽ニュートリノ信号が周期的なバックグラウンドに隠れてしまうかを評価する準備が整いつつある。これらの研究により、ミューオンの周期的な変動に関する研究成果、及び太陽ニュートリノのg-mode振動探索に関する研究成果を準備中である。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Journal of Physics: Conference Series
巻: 1468 ページ: 012189-012189
10.1088/1742-6596/1468/1/012189
巻: 1342 ページ: 012037-012037
10.1088/1742-6596/1342/1/012037
放射線化学
巻: 108 ページ: 19-25
http://ppwww.phys.sci.kobe-u.ac.jp/~nakano/index.html