研究課題/領域番号 |
17K17897
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
高山 修 岡山大学, 生殖補助医療技術教育研究センター, 助教 (80650879)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 生殖補助医療 / 胚培養士養成 / 技術教育教材 |
研究実績の概要 |
ヒト生殖細胞の操作トレーニング試料の開発については、すでに昨年度の時点で、代替動物の選定、疑似卵、疑似精液の作製に成功しているが、さらに採卵直後の卵を取り巻く膨潤化した顆粒膜細胞(卵丘細胞卵子複合体)の再現にアルギン酸ゲルを用いることで成功した。具体的には、周囲を取り巻く細胞を再現するため、ブタの卵胞液を一定の割合で2%のアルギン酸溶液に混合し、疑似卵とともにカルシウム溶液に放出することで、ゲル化させた。このことにより、再現度の高い疑似卵丘細胞卵子複合体の作製に成功した。 また、昨年8割程度完成していた仮想治療DBについては、治療の各段階に必要なデータ収集項目を増やし、さらに機能的なユーザーインターフェイスを検討することで、利用しやすいデータベースの基盤を完成させることができた。このことにより、採卵から移植、出産までの仮想データが完成し、さらに学習者が手を加えることによりデータベース開発の基本が学べる教材を作製することが出来た。 顕微授精シュミレーターについては、3Dモデリングにより卵やインジェクションピペット、ホールディングピペットの3Dデジタルモデルを作製した。また実際にはマイクロマニピレーターで行う動きを、ゲーム用ジョイスティックコントローラーによってパソコン画面上で再現できるプログラムを作製した。実際の操作用のジョイスティックは、作製業者に作製を検討してもらったところ、予想以上の高額となることが判明し、計画を変更して3Dプリンタを購入して自作することとした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
昨年度から作製してきたヒト生殖細胞の操作トレーニング試料は、生殖補助医療で使用する一通りの生殖細胞の代替物を完成させることができた。また、仮想治療DBについても昨年度未完成であった項目をすべて補完し、ユーザーインターフェイスも整え、学習効果の高いものが完成した。 昨年から前倒して計画を進めてきた顕微授精シュミレーターについては、主に使用する3Dモデルも完成し、基本的な動作が出来るプログラムは完成している。現在、より実物に近いユーザーインターフェイス作製のため、3Dプリンタによって部分的な部品の作製を進めている。 すでに令和1年度に計画していた内容に着手出来ており、計画は当初の予定以上に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
ヒト生殖細胞の操作トレーニング試料と仮想治療DBはほぼ完成しており、今後は顕微授精シュミレーター、ヒト生殖細胞の3D評価トレーニングシステムの開発に注力していく。胚培養士の養成環境に関する実態調査がまだ実施できていないが、今後取り組んでいく。 特に顕微授精シュミレーターについては、一通りの動きとユーザーインターフェイスが完成した後は、操作中に起こり得るトラブルのシュミレートをプログラムに組み込んでいく。学習者の行った操作について評価できるようなシステムも組み込んでいく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
顕微授精シュミレーターのユーザーインターフェイスについて、作製業者に依頼する予定だったが、予想以上に高額となる見込みになったため、急遽3Dプリンタを購入し、自作することとした。今年度未使用分は、次年度に3Dプリンタの素材となるフィラメント購入に充てる。
|