研究実績の概要 |
パーキンソン病患者の筋力低下や易疲労性の一因として、末梢の効果器である筋肉の運動単位が影響していることが動物実験の結果から指摘されている。しかし、パーキンソン病患者に対して運動単位の活動状況の測定を行うためには、侵襲的な手法である針筋電図を用いる必要がある。我々はその点に着目し、非侵襲的に運動単位の動態を推定することが可能な多チャンネル表面筋電図法を用いてパーキンソン病患者特異的な筋活動を明らかにすることを目的としている。本研究は、(1)健常者との比較、(2)内服薬(L-dopa)が運動単位の活性化に及ぼす影響、(3)パーキンソニズム患者との比較を行うことで、病態把握ならびに診断の補助ツールとしての有用性も明らかにしていく。 我々は、今までに健常者と比較して、パーキンソン病患者は漸増的な筋出力発揮時に運動単位の活性化が乏しいことを明らかにした(Nishikawa Y, 2017)。また、本研究に参加した患者は日常生活が自立している患者のみを対象としており、症状が軽度な時期から筋活動に異常が生じていることが明らかになった。現在、パーキンソン病患者の影響が強い側と非影響側の筋活動の比較、ならびに内服薬(L-dopa)が運動単位の発火動態に及ぼす影響について解析を行っている。パーキンソン病患者は症状に左右差が生じることが一般的に知られているが、症状が軽度な時期では左右差を自覚しない症例も少なくない。しかし、そのような軽症例においても、筋活動は明らかな左右差を呈することが我々の検討から明らかになった。
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