研究実績の概要 |
本研究は、多チャンネル表面筋電図を用いてパーキンソン病患者の運動単位の活動動態を非侵襲的に解析し、(1)健常者との比較、(2)内服薬(L-dopa)が運動単位の活性化に及ぼす影響、(3)パーキンソニズム患者との比較を行うことで、病態把握ならびに診断の補助ツールとしての有用性を検討した。 テーマ(1)は2018年度に終了し、2019年度はテーマ(2)と(3)の解析を実施した。 テーマ(2):内服薬(L-dopa)が運動単位の発火動態に及ぼす影響について解析した結果、内服薬投与により、運動単位の活動が活性化することを明らかにし(Nishikawa Y, 2018)、運動単位の発火動態が健常者と類似したパターンへ変化することが明らかになった。 テーマ(3):パーキンソン病とパーキンニズム患者(大脳皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺)では、類似した筋緊張異常(筋強剛)を呈する。本研究にて運動単位の活動動態を解析したところ、パーキンソン病患者では運動単位の発火閾値と発火頻度には相関関係が認められないが、パーキンソニズム患者では、それらに負の相関を認め、健常者の示すパターンと同様であったことが明らかになった。これらの結果より、パーキンソン病とパーキンニズム患者は、同様の筋緊張異常を呈するが、運動単位の活動には明らかな差がみられており、多チャンネル表面筋電図による運動単位の評価はこれらの疾患群の鑑別に有用な手法となり得ることが示唆された。
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