研究の目的は、初等中等教育において,学習者が主体的に知識基盤社会に参画する姿勢で学習を進めることができる知的財産教育を実現することである。2017年度では、教育心理学的な手法を用いて学習者の置かれている状況やニーズの実態把握に努めた。さらに、学習者の置かれている環境を俯瞰的に把握するために、知的財産に関連した経済政策や教育行政の取り組みなど、関連する行政の戦略を教育の観点からまとめた。2018年度においては、知的財産に関する学習指導と学習のためのビデオ教材の開発・教育実践及び,知的財産を創造することを通して学ぶ学習教材の開発を行った。2019年度及び2020年度については、開発した教材を基に教育実践を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染予防のため、やむなく教育実践を延期することとなった。しかし、2021年度においては、様々な校種において開発した「学習者の創造性を生かした知的財産の観点をもとにした学習教材」の教育実践を行うとともに、教育実践や学習効果・学習成果の評価などのフィードバックを得ることができ、さらに得られたデータの分析等を行った。2022年度においては、これまでの統括として、研究論文の執筆とともに、研究論文の投稿等を行った。研究の成果として、学習者は「親近感」や「親和性」の高い学習教材や学習題材を通じた学びにおいて、高い関心と興味を持つ傾向が見られた。特に、産業財産権に関する学習内容について強い傾向が見られた。学習形態については、一斉学習や個別学習、協働学習を取り入れた。特に、協働学習の、ジグソー法の教育実践では、学習者が主体的に参画している様子が確認された。学習者の取り組みへのさらに、学習メディアの観点からは、動画教材を取り入れるほうが主体的に取り組む様子や、学びが深まることが明らかになった。
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