研究課題/領域番号 |
17K17921
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
和田 佳三 徳島大学, 病院, 助教 (00771289)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 寛骨臼形成不全 / 有限要素解析 / 応力解析 / CT画像評価 |
研究実績の概要 |
我々は股関節寛骨臼形成不全の評価法の確立をめざして、CT撮影を用いた3次元的な骨頭被覆状態評価と実際の関節面にかかる応力との関係性が明らかにすることを目的とした研究を進めている。本研究の3つの柱として未固定遺体を用いた応力評価と有限要素解析による応力評価との整合性の検討、寛骨臼骨董被覆率と有限要素解析による応力評価の関連性の検討、骨盤傾斜による関節面応力評価への影響の検討がある。研究予定では本年度はまず未固定遺体を用いた応力評価と有限要素解析による応力評価との整合性の検討を実施することとしていたが、未固定遺体を用いた解析準備などに時間を要したため、寛骨臼骨頭被覆率の評価と有限要素解析による寛骨臼応力解析を中心に研究をすすめた。 まず寛骨臼骨董被覆率についての解析は我々がこれまでに得ている実臨床から得られた一般日本人1000例を越える大規模な関節形態調査のCT画像を用いて行い、3次元的な被覆率評価がこれまでの単純X線を用いた寛骨臼形成不全の評価基準と有意に相関(骨頭被覆率とCE角:r=0.767, p<0.001)(骨頭被覆率とACE角:r=0.585, p<0.001)している事が明らかになった。また骨盤が後傾するにしたがって骨頭被覆率が減少する傾向(r=-0.334, p<0.001)も認められた。 また有限要素法による寛骨臼応力評価では骨頭被覆率が減少するほど平均相当応力が増加し、骨盤後傾が増加するほど平均相当応力が増加する傾向が見られているが、解析症例数がまだ少なく有意性の検討はまだ実施できていない。 本年度の検討で骨盤後傾と骨頭被覆率、有限要素法による応力解析との関連性が解明されつつある。しかし、有限要素解析による応力評価はあくまでシミュレーションのため、今後もう一つの柱である未固定遺体を用いた応力評価との整合性評価を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究予定では本年度はまず未固定遺体を用いた応力評価と有限要素解析による応力評価との整合性の検討を実施することとしていたが、使用可能な未固定遺体の確保が予定通り進まなかった。 しかし、研究計画を変更してCT画像評価による骨頭被覆率の算出や有限要素解析による応力解析を進めることができたため、研究全体では概ね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
使用可能な未固定遺体の確保していくとともに、準備が完了したものからフィルム型センサーシートを用いた応力解析を進め、有限要素解析による応力評価との整合性の検討を進める。本検討から再現性の高い有限要素解析の条件設定を再考し、実際の応力負荷試験に即した設定で有限要素解析を再度実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に予定していた未固定遺体を用いた応力解析が予定通りに実施できなかったため、次年度に行う予定としたため次年度使用額が発生している。次年度使用額は主に応力負荷試験に関わる経費として使用する予定としている。
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