哺乳類の性は、Y染色体に存在するSryの有無によって先天的に決まると考えられており、現在まで、後天的な「環境」の影響は考慮されてこなかった。近年、性決定を制御するエピゲノムが明らかになり、遺伝的な性決定に加えて、新たに「環境」が性決定の要因となる可能性が浮上した。本課題では、哺乳類の性決定における「環境」は母体であると考え、母親の栄養が胎仔生殖腺の代謝を制御して性決定に影響を与えるかを検証した。本研究期間に、マウスの性決定時期に活性化する17個の代謝関連遺伝子を見出し、その遺伝子を欠損したマウスの性決定への影響を評価した。結果として、脂肪酸代謝経路が性決定に影響を与える可能性を見出した。
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