研究実績の概要 |
微小振動技術を用いた新規の定量的な触覚閾値検査装置の検査法の自動化を確立した。検査法の自動化技術は本研究以前には触覚閾値の1回の検査に40分から60分近くの時間を要していた。そうした長時間に及ぶ検査時間が被検者の検査への意欲を低下させる恐れがあった。同時に、操作方法がやや複雑で患者自身では検査は実施できず、検査補助者あるいは検査技師などの助けが必須であった。しかし、新規定量的触覚閾値検査装置の検査法の自動化によって1回の検査時間は5分から10分と大幅に短縮された。検査方法を被検者に教授すれば、2回目以降の検査は被検者自身で実施できる可能性が開けた。触覚閾値を明示化することによって糖尿病患者への治療意欲向上に役立つ可能性がある。 その新規装置によって、糖尿病患者の触覚において、神経障害のない糖尿病患者と比較した場合に神経障害のある糖尿病患者では有意に触覚が低下していることを明らかにした。また、神経障害を有さない糖尿病患者でも健常者と比較した場合に、触覚が有意に低下していることを明らかにした。そうした有意差は、逆確率重みつき推定法(Inverse Probability Weighting, IPW: 傾向スコアの逆数値を用いて被検者バイアスに重み付けをして解析を行うのがIPW法で,より少数の被検者で実際の臨床に即したバイアス調整ができる)でバイアスを十分調整した上でも有意なことを確認した。そうした一連の研究成果を最終年度に下記の論文に発表した。 Danjo J, Danjo S, Sawada H, Uchida K, Nakamura Y. Quantitative tactile examination by Shape Memory Alloy Actuators: Application to early detection of Diabetic Neuropathy. Actuators.Actuators Constantin Volosencu, IntechOpen, 2018 Jul.
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