研究実績の概要 |
本年度は前年の研究結果を踏まえ、より精緻な無住化集落の分布の把握と地理空間データを用いた無住化集落の特定手法の確立とを目的として研究を実施した。 前者については、前年度の研究結果から地形図上から地名が消滅した集落だけではなく、現行地形図上に地名が存在している集落においても無住化が発生していることが明らかになったことを踏まえ、元データとなる地名情報(集落ポイントデータ)を再考した。具体的には、地名が消滅している集落については既刊の消滅地名データベースを用い、現行地名については「字または通称」だけではなく「字なし大字」も考慮したデータ作成がなされていることから数値地図25,000(地名)を用いることとした。後者については、前年度の手法では人口データ(国勢調査4分の1地域メッシュ)が「0」の箇所に位置する地名情報を無住化の可能性がある集落として現住状況を住宅地図から精査したものの、精査の過程で人口データ「0」の箇所以外にも無住化集落が存在することが明らかとなった。これは集落ポイントデータと人口データとの位置関係の相違に起因するものであるが、より多くの集落を精査の対象とするために人口データの閾値を「5」に変更した。 結果として、明治期から現在にかけて四国4県において1,008箇所の無住化集落が発生していることが明らかになった。この結果は既往の報告や研究を大幅に上回るものであり,過疎地域対策において無住化集落の存在が無視できないものであることを意味するとともに,これらの集落における資源管理の状況もまた早急に精査されるべきであろう。加えて,詳細な精査は必要ではあるものの,本研究から明らかとなった無住化集落周辺の自然・社会的データを基準として,他地域の集落ポイントデータに多変量解析を施すことで他地域の無住化集落が明らかとなる可能性も開くこととなった。
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