最終年度は前年の研究結果を踏まえ、①四国4県95市町村への照会による無住化集落の分布確定と②無住化集落を対象とする現地調査を実施した。 ①については、前年度の世帯数推計「2」以下の1927集落を対象として、当該集落の現住状況および資源管理状況について、当該市町村に対する郵送法による照会を実施した。2020年3月末の回答率は集落数ペースで69.1%(1332集落)、市町村数ベースで71.6%(68市町村)である。集落の現住状況については、①無住:544集落(40.8%)、②現住:441集落(33.1%)、③元来より無住(埋立等の工業地帯):10集落(0.8%)、④当該市町村では集落とみなしていない:78集落(5.9%)、⑤わからない:259集落(19.4%)であった。未回答集落595においても、同様の割合で無住化集落が存在すると仮定すれば、四国4県における無住化集落数は約790集落ということになろう。ただし、ここで問題となるのは④と⑤の337集落(25.3%)である。本調査の対象集落は現住/無住は別にしても、小規模集落を抽出していることを考えれば、この結果から四国4県における小規模集落のうち約4分の1が市町村に把握されていない状況が示唆される。②については愛媛県中予・東予地方6市町村(四国中央市・新居浜市・西条市・東温市・松山市・久万高原町)を中心に実施した。多くの集落で資源管理状況はほとんど継続されていなかったが、一部の集落において家屋や農地・林地の維持および宗教施設の維持が継続されており、中には旧住民の季節居住が確認される集落も存在した。こうした集落についても、世代を超えた資源管理が継承されなければ、その存在は忘れ去られていくこととなり、旧住民が健在なうちにむらおさめを見据えた何かしらの活動が必要であるものと考えられる。
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