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2018 年度 実績報告書

メタゲノム解析を用いた菌血症における病原菌の患者内多様性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K17933
研究機関九州大学

研究代表者

後藤 恭宏  九州大学, 医学研究院, 助教 (20558358)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワード患者内多様性 / ヘテロサイト / ハプロタイプ / メタゲノム解析
研究実績の概要

収集した多くの検体で、メタゲノムシーケンス解析によりヘテロサイトが確認された。その解析の1例として、Helicobacter cinaediによる再燃症例で確認された患者内多様性を挙げる。本菌は、高い再燃率が問題になっているが、感染源や感染経路は明らかにされていない。本症例は、発症期に51日間の時間的間隔があった。それぞれの血液検体を全ゲノムシーケンス解析した結果、複数の塩基型が確認される多型部位(ヘテロサイト)がゲノム上に6ヶ所確認された。そこで、同一染色体上に存在する遺伝型(ハプロタイプ)を明らかにするために、平板培地に塗抹して得られたコロニー(個別菌)の全ゲノムシーケンス解析をおこなった。個別菌の解析の結果、初発期に5つの宿主内多様性(遺伝型)、再燃期には2つの遺伝型が確認された。再燃期の遺伝型は、初発期に確認された遺伝型であった。初発期に存在した多様性は、複数クローンが体内に侵入した可能性だけでなく、発症するまでに生体内で本菌がコロナイゼーションしていた可能性が考えられた。また、初発期から再燃期までの優勢クローンの経時的な移り変わりは、患者生体内で有利なクローンが選択された可能性が考えられた。そこで、各ヘテロサイトについて詳細な解析を行ったが、本症例では宿主内の環境から受けた選択圧(たとえば、治療のために投与された抗菌薬)からエスケープした形跡の特定には至らなかった。本検体に比べて、高頻度でヘテロサイトが確認された検体が多くあり、複雑な解析作業になっている。多様なクローンが検出される頻度と、原因菌種の常在性/環境由来や侵入門戸、感染経路などとの相関解析を行い、各菌種における多様化の様式・パターンを明らかにすることを目指して、現在詳細な解析を進めている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Genome sequencing verifies relapsed infection of Helicobacter cinaedi2019

    • 著者名/発表者名
      Sawada Osamu、Gotoh Yasuhiro、Taniguchi Takako、Furukawa Shota、Yoshimura Dai、Sasaki Satomi、Shida Haruki、Kusunoki Yoshihiro、Yamamura Tsuyoshi、Furuya Ken、Itoh Takehiko、Horita Tetsuya、Hayashi Tetsuya、Misawa Naoaki
    • 雑誌名

      Open Forum Infectious Diseases

      巻: 印刷中 ページ: -

    • DOI

      10.1093/ofid/ofz200

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Multi-step genomic dissection of a suspected intra-hospital Helicobacter cinaedi outbreak2019

    • 著者名/発表者名
      Gotoh Y, Taniguchi T, Yoshimura D, Katsura K, Saeki Y, Hirabara Y, Fukuda M, Takajo I, Tomida J, Kawamura Y, Ogura Y, Itoh T, Misawa N, Okayama A, Hayashi T
    • 雑誌名

      Microbial Genomics

      巻: 5 ページ: -

    • DOI

      10.1099/mgen.0.000236

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Genomic Characterization of β-Glucuronidase Positive Escherichia coli O157:H7 Producing Stx2a2018

    • 著者名/発表者名
      Ogura Y, Seto K, Morimoto Y, Nakamura K, Sato MP, Gotoh Y, Itoh T, Toyoda A, Ohnishi M, Hayashi T
    • 雑誌名

      Emerging Infectious Diseases

      巻: 24 ページ: 2219~2227

    • DOI

      10.3201/eid2412.180404

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 院内感染疑い事例の全ゲノムシーケンスによる超高解像度分子疫学解析2019

    • 著者名/発表者名
      後藤恭宏, 谷口喬子, 吉村大, 桂啓介, 佐伯裕二, 平原康寿, 福田真弓, 高城一郎, 小椋義俊, 伊藤武彦, 三澤尚明, 岡山昭彦, 林哲也
    • 学会等名
      第13回日本ゲノム微生物学会

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公開日: 2019-12-27  

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