本研究では、日本在来捕鯨業の多様性を理解するため、組織・制度・資源動員という3つの視座から、2年間にわたって調査・分析を行った。その結果、地域社会における捕鯨業への人的・物的資源の動員のあり方の違いが、捕鯨業によりもたらされる富の分配のあり方などと密接に関係していたことが明らかとなった。また国内外の資料所蔵機関の現地調査を通じて、在来捕鯨業に関する史料情報の集約化を進めるとともに、『日本捕鯨史料叢書』を刊行し、基礎的な史料情報の公開を行った。これらの成果は、日本在来捕鯨業の多様性の理解する上で重要な位置を占めると評価される。
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