研究課題/領域番号 |
17K17941
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
末松 昂一 九州大学, 総合理工学研究院, 助教 (90637555)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ガスセンサ |
研究実績の概要 |
半導体ガスセンサは微量の可燃性ガスを高感度に検知できるデバイスとして、ガス警報器等として幅広く利用されている。近年では、その応用の一つとして、呼気中の有機ガス検出を利用した医療用ガスセンサの開発が期待されている。 これまでに、半導体ガスセンサ材料の設計指針として、材料自身の触媒活性,ガス拡散性,粒子径を制御することが有効であると提案されている。近年申請者は、これら三つの因子を同時に制御したPd-SnO2クラスター粒子を用いて、数ppbの微量な有機ガスを検出可能な高精度センサ材料を開発した。しかしながら、医療用途への応用のためにはさらに低濃度の有機ガスを検出する必要がある。そこで本研究では,ガスセンサの更なる高精度化を図るべく,酸化物ナノ粒子の結晶面に着目,材料設計因子としての有用性を検証する。さらに、本研究では結晶面の効果を既存の材料設計指針を組み合わせることによる材料設計指針の相乗効果についても検証する。 現在、酸化スズ粒子を用いて、一軸方向に配向した粒子の開発に成功しており、結晶面とセンサ応答との相関関係が得られつつある。しかしながら、センサ感度向上のメカニズムに関する検証は不十分であり、特異結晶面の露出が及ぼす触媒活性への効果や酸素吸着状態、吸着量について、検討予定である。さらに、結晶配向した粒子を用いてガス拡散に最適な細孔を導入した三次元構造粒子を形成、pptレベルの有機ガス検出を可能とするセンサ材料設計を確立する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに配向性を有するSnO2ナノ粒子の合成に成功しており、溶媒中においても高濃度分散状態を保つことが可能である。また、この粒子を用いることで有機ガスに対して高いセンサ感度を発現することが確認できている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の基本方針としては、より配向性の高い粒子の創製と三次元構造化にある。結晶面とセンサ応答の相関関係についての触媒活性及び酸素吸着能の観点から検証予定する計画である。さらに、既存のセンサ材料設計指針である触媒活性,ガス拡散性,粒子径との組み合わせにより、センサ感度を向上、pptレベルの有機ガス検出を試みる計画である。
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