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2017 年度 実施状況報告書

ミクログリアに起因する慢性炎症を制御する新規治療薬の探索研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K17947
研究機関九州大学

研究代表者

山下 智大  九州大学, 薬学研究院, 助教 (30645635)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワードミクログリア / 医薬品探索 / サイトカイン / ATP受容体 / 慢性炎症 / アカデミア創薬 / ドラッグリポジショニング
研究実績の概要

中枢神経系を構成するグリア細胞の一つであるミクログリアは炎症性因子や細胞障害性因子の産生放出を引き起こすことで、慢性炎症を伴う中枢神経系疾患の発症や調節に深く関与することが報告されている。しかし、ミクログリアに起因する慢性炎症を制御する手段は依然として確立されていない。そこで本研究課題では化合物スクリーニングを基盤として、「戦略1:ミクログリアから産生放出する炎症性サイトカインもしくは抗炎症性サイトカインを制御する化合物の探索」さらには「戦略2:ミクログリアに発現するATP受容体の機能を阻害する化合物の探索」を切り口として、革新的な慢性炎症の制御治療法の確立および慢性化機構の解明を目指す。

平成29年度は、まず戦略1を達成するため、NanoLucルシフェラーゼを利用したIL-1βシグナル検出系およびIL-10シグナル検出系を導入したミクログリア細胞株を作製し、天然物化合物(319化合物)および薬理活性化合物ライブラリー(1280化合物)を評価した。その結果、IL-1βシグナルを抑える化合物として、抗炎症作用を有することが知られるパルテノリドを見出せたことから、評価系の妥当性を支持する結果が得られた。興味深いことに、他にもこれまでミクログリアへの効果が明らかにされていない化合物を新たに発見した。そして戦略2を達成するため、既承認薬から構成される化合物ライブラリー(1979化合物)の中から、カルシウムイメージング法によりラットおよびヒトP2X7受容体の機能を強く阻害する化合物の探索を試みた。その結果、中でも3つの化合物に、P2X7受容体を介したカルシウム流入および小孔形成(YO-PRO-1アッセイ)に対して濃度依存的な阻害作用を見出した。さらに初代培養ミクログリア細胞に対して高濃度ATP刺激により誘発するカルシウム流入がこれら化合物を前処置することで有意に抑制した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定どおり異なるアプローチ法による大規模化合物スクリーニング(計3500化合物以上の評価)を遂行し、いくつかの化合物を選定できたことから、本年度の研究計画はおおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

平成29年度において、ミクログリアを起因とする慢性炎症を制御する可能性を秘めた候補化合物を見出したことから、平成30年度には計画に従って、発見した化合物の初代培養ミクログリア細胞に対する有効性や化合物が作用する分子の解明など詳細な評価について進める。さらに有効性と安全性が確保されている化合物については疾患モデル動物への作用効果も順次進めていく。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] Microglial ATP receptors in neuropathic pain2018

    • 著者名/発表者名
      Kazuhide Inoue and Tomohiro Yamashita
    • 学会等名
      PURINES 2018
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2018-12-17  

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