研究課題/領域番号 |
17K17953
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮原 麗子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任研究員 (40567301)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ビタミンD / 小児 / 呼吸器感染症 / B型肝炎ワクチン / アレルギー疾患 / Toll様レセプター |
研究実績の概要 |
本研究は、ベトナムで行われた出生コホート研究の検体と追跡データを用いて、小児のビタミンD血中濃度と感染症疾患やアレルギー疾患との関連、またビタミンD欠乏の理由を明らかにするものである。また、ビタミンDとToll様レセプターを介した自然免疫との関連も示唆されており、小児の血液検体を用いて、ビタミンD血中濃度とToll様レセプター刺激後のサイトカイン発現の関係を明らかにする。ビタミンDの血中濃度が感染症やアレルギー疾患と関連があることをコホート研究で明らかにすることができれば、小児へのビタミンD投与による感染症やアレルギー疾患の予防につながることが期待される。 小児のビタミンD欠乏症は、低中所得国で多く見られることがわかっているが、ベトナムにおけるデータが少ないことから、まず初期に出生コホートに登録された小児360名を対象に、ビタミンD血中濃度の測定を行なった。測定の結果、ビタミンD欠乏もしくは、不十分な血中濃度の小児が多く見られた。しかし、ビタミンD欠乏と明らかに関連のある社会的要因や生活要因等は認められなかった。また、2歳時までの感染症による入院との関連はなかった。この出生コホート研究では、B型肝炎ワクチンの抗体価を調べていることから、ワクチンの反応との関連を解析したところ、抗体価とビタミンD欠乏に関連が見られた。この関連をより確かなものにするべく、B型肝炎ワクチンの応答能が低い群とワクチン交代価が十分な群とを選びだし、追加でビタミンD血中濃度の測定と、Toll様レセプター刺激後のサイトカイン発現量も両郡で比較する。更に、6歳までの追跡データを入手し、ビタミンD血中濃度とアレルギー疾患との関連を解析することとしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
別事業による長期海外出張のため、国内での実験や論文や解析結果の学会発表ができず、課題の延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
コホート研究の中で収集している6歳までの追跡データを整理し、6歳までに発症した感染症とアレルギー疾患が、ビタミンD血中濃度やToll様レセプター刺激後のRNA発現量と関連があるかを解析し、論文を執筆する予定である。また、これまでにタイピングした免疫に関連したSNPとの関連も解析し、感染症発症やアレルギー疾患発症に関連するSNPを同定する予定である。 Toll様レセプター刺激培養後のRNA発現量の測定が初期の360名までしか行えず、関連性を明らかにするには測定検体数が不十分な可能性があることが課題であるが、出生から6歳までの臨床データを持っている優位性を生かし、様々な免疫関連疾患との関わりを解析していく。また本研究での解析結果を今後積極的に学会で発表していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
他事業のため長期海外出張しており、国内での研究が行えず、解析に遅れが出たため課題の延長申請を願い出た。次年度は、主に実験で得た測定結果を臨床データとの関連を解析し、学会や論文執筆を行う予定である。次年度の予算は、解析のために必要な追加のソフトウェアの購入と、学会参加のための旅費や論文の英文校正費用に使用する予定である。
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