研究課題/領域番号 |
17K17957
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
西本 康兵 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (60535590)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ビタミンA / 声帯 / 星型細胞 / 体内動態 / 声帯瘢痕 |
研究実績の概要 |
F-344ラット(オス5週齢)65匹を対称とし、3週間ビタミンAフリーの食餌を与え欠乏させた後、αレチノール7.0μmolを経口的に単回投与した。αレチノールはビタミンA輸送タンパクであるRBP(retinol binding protein)と結合しない性質をもち、そのため、腸管での吸収直後に脂質とともにカイロミクロンによってのみ輸送され、一旦貯蔵されるとその臓器に留まり代謝される。投与の直前、投与の1,3,5,7,9、11、24、72時間後に下腿より採血し、7、72時間後には安楽死処理の後に喉頭、肝臓、腎臓、脾臓、肺を採取した。超高速液体クロマトグラフィーにてビタミンAの分画および量の定量を行った。その結果、血漿中のαレチノールは3時間後にピークとなり、その後11時間にはほぼ消失した。肝臓では7時間から72時間にかけてαレチノール濃度は増加しており、体内のビタミンAを集積し続けていた。声帯内では7時間後から7時間後にかけて著明に減少しており、腎臓、脾臓と同様にであった。分画については、声帯、肺、腎臓、脾臓では輸送型のアルコールであるαレチノールが優位であり、肝臓内では貯蔵型のエステルであるαレチノールエステルが優位であった。 以上から、ラットにおいて経口的に投与されたビタミンAは3時間で血中に出現し、声帯を含む種々の臓器に分布された。声帯では貯蔵されたビタミンAはその他の臓器と比較して素早く代謝されていることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ラットへのαレチノール投与実験は終了し、平成30年度に行う予定であった超高液体クロマトグラフィーでのビタミンAの分画および量の定量は終了し、組織学的評価を残すのみとなった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き今年度に行う予定の組織学的評価を行い、学会などで発表する予定である。来年度の声帯瘢痕ラットモデル作成についても具体的に計画する。
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次年度使用額が生じた理由 |
液体クロマトグラフィーの使用料が未払いであること、学会発表がまだ行われていないことから、来年度以降に残った予算を繰り越し使用する予定である。
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