研究課題/領域番号 |
17K17959
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
札場 博貴 大分大学, 医学部, 助教 (00772930)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 髄膜腫 / ウイルス療法 |
研究実績の概要 |
がんウイルス療法は、がん細胞でのみ複製するがん治療用ウイルスを用いてがん細胞を死滅させる治療法である。第三世代がん治療用HSV-1であるG47Δ(T-01)および、改良型G47Δ(T-hTERT)の髄膜腫に対する治療効果を検討するため、本研究課題の目的のひとつである、髄膜腫細胞株の樹立、および細胞株における殺細胞効果の評価を行った。 髄膜腫初代培養細胞株の樹立を進めると共に、リアルタイムセルアナライザーを用いてウイルスの殺細胞効果を検証した。髄膜腫細胞株によっては、T-01と比較しT-hTERTにおいてより高い殺腫瘍効果が確認できた。またリアルタイムセルアナライザーを用いることにより、より多くの細胞株を速やかに評価できる体制が整った。今後は髄膜腫細胞株におけるウイルス複製能の検証やマウスモデルにおける検討を行うこととしている。またウイルス間の治療効果の違いについて、機序を検証していく。 改良型G47Δ(T-hTERT)は、ウイルス複製に必要なICP6をhTERTプロモーターで制御するため、宿主のRR活性に依存せずに複製能を維持する仕組みが施されており、髄膜腫のような腫瘍において、複製能を保ち、強力な抗腫瘍効果を発揮する可能性が高いと思われた。これらの研究を通じて、切除不能な良性髄膜腫における、複製能を維持したがん治療用ウイルスの開発や、再発、難治性髄膜腫における新たな治療法の開発に繋がると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度の研究目標はやや遅れていると考えている。 リアルタイムセルアナライザーを用いたウイルス間の評価は進んでいるが、動物モデルに対するウイルス療法には至っていない。その理由として、髄膜腫細胞自体の倍加が遅く、マウスモデルの樹立に苦慮していることや、実験を行っていた学内共通のP2実験室が大規模な改修に入り、実験が中断していたことが挙げられる。すでにモデルが確立できている細胞株を用いてウイルス間の比較を行うこととしている。
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今後の研究の推進方策 |
リアルタイムセルアナライザーを用いた細胞障害性の評価を行いながら、治療効果を確認できたものからマウス実験へと移行する。またウイルス間の治療効果の違いの機序について検証していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の効率化や実験室工事に伴う遅滞により、本年度に計上した経費がかからなかった。施設承認が終わり、継続的な実験再開が可能となったため、次年度以降に必要である。
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