研究課題/領域番号 |
17K17960
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
大地 嘉史 大分大学, 医学部, 助教 (50649811)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 血液浄化療法 / 敗血症 / サイトカイン / HMGB-1 |
研究実績の概要 |
敗血症は発生率が増加傾向にあり,未だに死亡率の高い疾患である.確立された有効な治療法は無く,病態も完全には解明されていないが,判明している原因の一つが炎症性サイトカインの過剰産生である.それらを制御する方法の一つとして持続血液浄化療法が用いられるが,その方法も確立していない.2016年より臨床使用可能となった,ポリエーテルスルホン(PES)を膜素材とした血液浄化器は,その構造的特性から炎症性サイトカインをはじめとした中分子の除去に優れると予想される.そこで,人血を用いた敗血症モデルでPES膜の炎症性サイトカインの除去性能を膜種,濾過流量,膜面積,形態学的な面から検討し,PES膜の敗血症治療における有用性と持続血液浄化療法による炎症性サイトカイン制御の可能性を明らかにすることを目的とする. 当該年度において,8例の敗血症モデルにおけるサイトカイン,HMGB-1,albuminの除去能の検討を行った.その結果,各種サイトカイン,HMGB-1ともにふるい係数は0.8以上と,高い溶質除去能を認めた一方で,albuminのふるい係数は0.04と低値に止まっていた.結果から,PES膜では,有用なタンパクであるalbuminの喪失を抑えながら敗血症の病因の一部と考えられるサイトカインやHMGB-1を効率よく除去できる可能性が示唆される結果であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書の中で示した、期待された仮定とほぼ同様の結果が得られており、実験系も安定しているため現在のところ、順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
得られたデータを解析し,問題なければ論文執筆・投稿を行う。また,電子顕微鏡を用いての形態学的な検討を追加する。
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