研究課題/領域番号 |
17K17962
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
榊原 良太 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 講師 (80778910)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 再評価 / 認知的再評価 / 精神的適応 |
研究実績の概要 |
本年度は大きく2つの調査を遂行した。まず、研究課題である他者からの再評価を検討する上で、再評価を含めた認知的感情制御全般の適応性を把捉しておく必要がある。そこで、20代から80代までの広い世代を対象に、認知的感情制御と精神的健康に関する調査を実施した。従来、幅広い世代を対象とした調査は国内外において実施されておらず、本調査の知見は、再評価を含めた認知的感情制御方略の性質をこれまで以上に明瞭にするものであると考えられる。また、幅広い世代を対象としたことで、横断的なデータではあるものの、各方略の発達の軌跡を垣間見ることができた。 次に、精神的適応を従来よりも広く、また快楽主義的な視点に偏らないように測定する目的から、eudaimoniaという概念に着目し、その尺度の翻訳を行った。バックトランスレーションなどの適切な翻訳の手続きによって項目を作成し、500名を対象とした調査によってデータを得た。現在、分析の途中ではあるものの、先行研究と同様の因子構造が得られ、尺度としての信頼性も十分確保されていることが分かっている。 さらに、上記2つの調査に加え、感情制御に関する知見を幅広くまとめたレビューを執筆した。このレビューにより、感情制御の柔軟性や感情制御アフォーダンスといった、新しい概念の重要性が審らかにされ、今後の実証研究を進めていく上での着想を得るに至った。一方で、これまで感情制御研究が依拠してきた、Grossのプロセスモデルの限界についても明確になり、新たな理論構築の必要性が議論された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2つの調査によって、今後の研究のベースとなるデータが得られ、また測定ツールが整ったため。
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今後の研究の推進方策 |
課題を遂行する上でのベースは整ったため、30年度はそれらを用いて、実験および調査を実施していく予定である。特に、他者からの再評価に関しては、従来操作や測定の対象とはなってこなかったため、その実現に注力する。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査にかかった費用が少し割り引かれたため、残額が出た。その分は次年度の調査にそのまま繰り越すこととする。
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