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2019 年度 実績報告書

うつからの回避的な認知・行動パターンによるうつ病の再分類と治療アプローチの開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K17971
研究機関徳島大学

研究代表者

甲田 宗良  徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 講師 (50736189)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードうつ状態 / 感情気質 / 回避 / 抗うつ認知 / 抗うつ行動 / 活動的対処 / 認知・行動パターン
研究実績の概要

本研究は,うつ病臨床における研究成果と臨床現場の乖離を埋めるべく,うつ病の多様な病態を,「うつからの回避的な認知・行動パターン」によって分類・整理し,それらに応じた具体的,実践的な治療・対応指針を策定し,その効果検証や普及・啓発を行うことを目的としていた。
2019年度は,一般健康成人(500名)を対象にweb調査を行い,感情気質ごとの,うつ状態を経験した際の認知・行動的反応パターンを明らかにした。その結果,循環気質,焦燥気質,メランコリー気質,抑うつ気質者は,うつ状態に対して消極的な認知・行動反応を生起しやすいことが分かった。さらに,循環および焦燥気質者のうつ状態に対する対処行動は,強い抗うつ的な認知に動機づけられていることも示された。一方,メランコリーおよび抑うつ気質者は,うつ状態に対して積極的に対処しようとするよりも,自罰・自省的な反応を示しており,うつ状態の解消という意図を介さない対処行動が生じていることが示された。こうした成果より,同じうつ状態あるいは対処行動を呈していても,そこに至るプロセス(認知・行動パターン)が,感情気質によって異なることが実証された。
その他,ポジティブ感情の減退という,うつに特異的な感情反応のメカニズム検証に有用な,ポジティブ感情に対する認知・行動反応を測定する尺度の開発研究を行った。その結果,一般健常人においては,ポジティブ感情を増幅する,および鎮静させる両方向の認知・行動反応があることが確かめられた。この結果は,先行研究と一致していた。
最後に,うつ状態の患者に対するインタビュー調査を行い,自身の感情状態の可変性に関する信念の有無や内容によって,うつ状態に対する対処意図や行動が異なることを確認した。
現在,本結果に基づき,うつ状態にある者に対して,個人の特性(感情気質)に応じたケアの方針を示したガイドライン(案)を作成している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Effects of attitudes towards ambiguity on subclinical depression and anxiety in healthy individuals2019

    • 著者名/発表者名
      Enoki Hiroyuki, Koda Munenaga, Nishimura Sayako, & Kondo Tsuyoshi
    • 雑誌名

      Health Psychology Open

      巻: 6 ページ: 1-7

    • DOI

      https://doi.org/10.1177/2055102919840619

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Development of the 12-item questionnaire for quantitative assessment of depressive mixed state (DMX-12)2019

    • 著者名/発表者名
      Shinzato Hotaka, Koda Munenaga, Nakamura Akifumi, & Kondo Tsuyoshi
    • 雑誌名

      Neuropsychiatric Disease and Treatment

      巻: 15 ページ: 1983-1991

    • DOI

      https://doi.org/10.2147/NDT.S215478

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ポジティブ感情に対する反すう・鎮静反応2019

    • 著者名/発表者名
      甲田宗良
    • 学会等名
      日本認知・認知行動療法学会第45回大会
  • [学会発表] 躁とうつのあわい-「感情は変わりうる」という信念-2019

    • 著者名/発表者名
      甲田宗良
    • 学会等名
      日本認知・認知行動療法学会第45回大会
  • [図書] 認知行動療法事典2019

    • 著者名/発表者名
      日本認知・行動療法学会(編) 甲田宗良・青木俊太郎・浅野憲一・朝比奈牧子・朝山寛子・足達淑子・安部尚子・荒川和歌子・荒木剛・荒木友希子・飯倉康郎・家接哲次・五十嵐透子・五十嵐友里・池田浩之・池田美樹・池淵恵美・井合真海子・石垣琢麿・石川信一・市倉加奈子・他220名(著)
    • 総ページ数
      828
    • 出版者
      丸善出版
    • ISBN
      978-4621303825

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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