研究実績の概要 |
具体的に, 大きく2点のテーマに絞って研究を行った. 当該年度においては, 特に以下2点目の研究に注力した. 1点目の研究目的は, 新規企業の参入退出行動と既存企業の投資活動を同時に考慮した動学的一般均衡モデルに基づいて, 財政政策および規制緩和政策の経済成長率・経済厚生への影響を解明することである. 当該年度においては, Step-by-step型内生成長モデルを用いて, 規制緩和政策がマクロ経済変動に与える影響について考察した. 主要結果として, 政策変更前において財市場競争が熾烈でない場合, 参入費用の下方誘導はトレンド経済成長を高められるが, 同時に経済変動の不安定化を招く可能性があることを明らかにした. 2点目の研究目的は, 公企業と民間企業が競合している混合寡占市場のオープンループナッシュ均衡解とマルコフ完全ナッシュ均衡解の特徴付けを行い, 各均衡解における公企業の民営化政策の政策含意を導出することである. 主要結果として, マルコフ完全ナッシュ均衡解における最適民営化度合いが, 他均衡概念における結果と比較して, 顕著に高くなることを明らかにしている. 当該年度においては, Journal of Public Economic Theory誌から改訂再投稿要求を受け、以下大きく2点の進展をみた. (1) 公企業・私企業のどちらか一方のみが生産を行うコーナー解についての議論を詳細に行った. (2) 初期値, 移行過程を考慮した追加分析により, 数値計算結果の頑健性を高めた. この進展を踏まえた再投稿を当該年度内に行った(2019年4月に掲載最終受理が決定).
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今後の研究の推進方策 |
1点目の研究については, 以下の通り研究を推進する. 摩擦的労働市場を導入したモデル拡張を行い, 財市場と労働市場間の相互作用を明示的に考慮して, 財政政策および規制緩和政策の政策含意を導出する. 次に, 企業間の生産性の異質性を導入したモデル拡張を行い, 経済全体の内生的な効率性変化をも考慮した下で, 政策含意がどのように変更されるかを明らかにする.
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