最終年度では、間欠的空気圧迫と温熱刺激による腰背部筋疲労の即時的な回復効果を検証した。対象は健常成人を対照群、大腿・下腿への間欠的空気圧迫群、同体節への温熱刺激群に群分けをした。 筋疲労課題は腹臥位での体幹保持課題(Biering-Sorensen test)を採用した。各被検者には努力限界までの姿勢保持を3試行実施してもらい、間欠的空気圧迫群と温熱刺激群には2試行終了後に5分間の物理刺激を各条件で実施した。効果指標は姿勢保持時間、筋電図計測による腰背部の筋活動とNIRS計測による腰背部の血流動態とした。 その結果、姿勢保持時間は3群ともに試行間で有意に減少し、胸最長筋と多裂筋の平均筋活動や平均周波数・中間周波数の増加による筋疲労現象が確認された。一方、腰背部の血流動態では1-2試行間で有意に血流回復時間は遅延し、物理刺激の実施前後で回復時間の有意な短縮も一部Chで確認できた。しかし、Chによっては物理刺激後にむしろ遅延し、間欠的空気圧迫と温熱刺激による有意差もCh全体では限定的であった。その他、酸化濃度や最大最小値での解析も実施したが、いずれの項目でも間欠的空気圧迫による実施前後の有意差はみられなかった。 本研究の結果より、1)間欠的空気圧迫装置の周期性は腰背部で導出可能であり、2)腰背部の浅層血流増加は開始5分前後でプラトーに達するのを確認できたが、3)姿勢保持筋の筋疲労を軽減させるような即時効果は見出すことができなかった。
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